防空壕(読み)ボウクウゴウ

デジタル大辞泉 「防空壕」の意味・読み・例文・類語

ぼうくう‐ごう〔バウクウガウ〕【防空×壕】

空襲のときに避難するため、地中に造る穴や構築物。

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共同通信ニュース用語解説 「防空壕」の解説

防空壕

太平洋戦争中に米機の空襲に備えて、山の斜面地面を掘って作った穴や構築物。サイパン島が陥落して本土空襲の恐れが出てきた1944年以降、各地で造成されるようになり、空襲警報が鳴ると、住民はこの中へ一斉に避難した。

旧日本軍や自治体などが掘った特殊地下ごうは国土交通省調査で全国に8500カ所近くが現存する。長野市の松代大本営のように戦争遺跡として整備され、観光客を集める壕がある一方で、崩落事故も後を絶たない。

その防空壕や地下壕が日本酒や泡盛を造る酒蔵関係者の注目を集めている。中の気温が1年を通して低く、変動が少ないため、酒を保管して熟成させるのに向いているからだ。戦争の記憶を凝縮した「負の遺産」が、身近な存在として生まれ変わっている。

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精選版 日本国語大辞典 「防空壕」の意味・読み・例文・類語

ぼうくう‐ごうバウクウガウ【防空壕】

  1. 〘 名詞 〙 空襲のときに避難するため、地を掘ってつくった穴や構築物。
    1. [初出の実例]「あれは防空壕にそのまましたらいいと思ふんです」(出典:北京の幽霊(1943)〈飯沢匡〉三幕)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「防空壕」の意味・わかりやすい解説

防空壕
ぼうくうごう

空からくる敵の攻撃に対し人員や施設を守るため地を掘ってつくる壕。太平洋戦争では、米軍機が日本本土の空襲を開始したころ職場や家庭に急造された。だが資材不足のため、ほとんど防護効果がなく、応急待避施設として位置づけられていた。とくに大量の焼夷(しょうい)弾により広範囲の都市爆撃が行われるようになってからは、地下壕で蒸し焼きになって死亡する人々が続出した。防空壕と隣組の消防活動に頼った民間防空が市民の犠牲を大きくしたのである。そのため敗戦直前になると、空襲の際は爆撃地域から逃げ出すようになった。なお、核爆発に対する待避壕については、「シェルター」の項を参照されたい。

藤井治夫

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百科事典マイペディア 「防空壕」の意味・わかりやすい解説

防空壕【ぼうくうごう】

空襲やミサイル攻撃の被害を避けるための地下壕。第2次大戦までは簡単なものが多かったが,現代戦では核兵器の威力が大きいため,完全防護を図るには地下数百mに所在し環境調節装置なども完備したものでなければならない。この種の施設(シェルター)を政府,軍の中枢防護のため常置する国も現れている。民間用では爆心での防護を目的とせず,爆風や放射性降下物の被害を避けるため,地下室または1m以上の覆土(ふくど)をもつコンクリート壕で,外部と遮断(しゃだん)されても数日間生存できる程度の施設が考えられている。

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