阿弥陀はサンスクリットのアミターユス(無量の寿命の意)とアミターバ(無量の光明の意)の音訳。西方にある極楽浄土の仏で,日本では,浄土教の隆盛にともない諸仏のなかでも最も多くの信仰を集めた。さまざまな経典に記されているが,とくに浄土三部経とよばれる「無量寿経」「観無量寿経」「阿弥陀経」は阿弥陀に対する信仰を中心として書かれている。10世紀に源信(げんしん)が「往生要集」を著し,同じ頃民間に空也(くうや)が現れて称名念仏を唱え,阿弥陀に対する信仰を勧めた。この頃から浄土信仰は盛んになり,12~13世紀には法然(ほうねん)・親鸞(しんらん)・一遍(いっぺん)などが教理と実践の両面をいっそう純化させ,それぞれ浄土宗・浄土真宗・時宗教団の基礎を作った。
出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報
…大乗仏教では釈迦如来のほかにも多くの如来が現れるが,それらの如来はみずからの理想の国土〈浄土〉を建設することを自己の目標とした。このような思想を説く経典を浄土経典と呼び,すでに1世紀ごろには阿閦(あしゆく)如来とその仏国土〈妙喜浄土〉が説かれるが,やや遅れて阿弥陀如来とその仏国土〈極楽浄土〉を説く経典が現れた。このほかにも種々の浄土が存在するが,その中では弥勒菩薩の居所〈兜率天(とそつてん)〉や観音菩薩の居所〈補陀落山(ふだらくせん)〉などが著名であり,これらにまつわる美術も少なくない。…
※「阿弥陀如来」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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