阿波神社(読み)あわじんじや

日本歴史地名大系 「阿波神社」の解説

阿波神社
あわじんじや

[現在地名]大山田村下阿波

下阿波しもあわの中央部宮谷みやたに丘陵北端、阿波川を見下ろす位置にある。祭神は稚日女神ほか。延喜式内社、旧郷社。「三代実録」の貞観三年(八六一)四月一〇日の条に「授伊賀国正六位上高蔵神・阿波神・高松神・宇奈根神並従五位下」とあり、同書同一五年九月二七日の条では従五位上を授与されている。当社は永禄―文禄(一五五八―九六)頃は白鬚しらひげ明神杉尾すぎお明神あるいは杉尾白鬚明神と称された。すなわち、「兼右卿記」永禄一一年三月一七日の条に「山田郡阿波郷白鬚大明神神位事申之間、調遣了、為礼二貫四百文 宗源宣旨 正一位白鬚大明神 伊賀国山田郡阿波」とあり、また当社蔵鉄製鰐口の銘に「阿波谷 杉尾大明神真前 文禄五年八月廿日」とある。


阿波神社
あわじんじや

率川神社本殿東に鎮座し、西城戸町にあったといわれる「延喜式」神名帳の添上郡の「率川阿波神社」を移したもので、大神神社摂社。祭神は事代主ことしろぬし命。式内率川阿波神社は仁寿二年一一月九日に従五位下となっている(文徳実録)。文永二年(一二六五)阿波神社神主大神家次の著した「大神分身類社鈔並附尾」は、当社の由来について「率川阿波神社一座、大和国添上郡、事代主命、八尋態鰐歟、宝亀年中、藤原大納言是公夢云、吾狭井御子神也、汝氏神武甕槌命共住阿波国有相親而今武甕槌命来臨于三笠山、因次吾等欲居率川辺、宜敬祭之、是公依夢者造神殿自阿波国請之」と記し、当社は藤原是公建立で、阿波国の神を勧請して率川神社の若宮としたとされ、阿波国阿波郡には「建布都神社」と「事代主神社」が鎮座した(「延喜式」神名帳)


阿波神社
あわじんじや

[現在地名]鳴門市大麻町池谷

大石おおいしの県道鳴門―池田いけだ線沿いにある。主祭神は土御門天皇。旧県社。「阿波志」には池谷いけのたに村の北にある天王てんのう山は土御門上皇行在所と伝えると記され、また土御門上皇陵は天王山下にありまる(丸山)と称するとも記される。土御門上皇は承久の乱後自ら望んで承久三年(一二二一)に土佐国に配流となり、のち貞応二年(一二二三)阿波国に移り寛喜三年(一二三一)配所で死去した。土御門上皇行在所と伝えられている所は板野いたの郡の各地に散在していて特定できていない。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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