陀羅尼助(読み)ダラニスケ

デジタル大辞泉 「陀羅尼助」の意味・読み・例文・類語

だらに‐すけ【×陀羅尼助】

キハダニガキなどの木皮せんじ汁を濃縮して干した薬。きわめて苦く、腹痛に用いる。僧が陀羅尼を誦するとき眠けを防ぐために口に含んだという。吉野大峰山から全国に普及した。だらすけ。

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精選版 日本国語大辞典 「陀羅尼助」の意味・読み・例文・類語

だらに‐すけ【陀羅尼助】

  1. 〘 名詞 〙 ( 僧侶が陀羅尼を読誦(どくじゅ)するとき口に含み、その苦味睡魔を防いだところからという ) 黄蘗(きはだ)生皮センブリの根などを煮つめてつくった乾燥エキス剤。黒色固形で、独特の苦味がある。腹痛・健胃整腸剤に用いる。だらすけ。
    1. [初出の実例]「花を見し土産には苦し陀羅尼助」(出典:雑俳・俳諧觿‐一三(1797))

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「陀羅尼助」の意味・わかりやすい解説

陀羅尼助
だらにすけ

売薬の一種。ミカン科のキハダPhellodendron amurense Rupr.およびその変種コルク層を除いた樹皮黄柏(おうばく))の水性エキスを乾固したもので、苦味が強く健胃、整腸薬として用いられる。苦味成分はベルベリン系アルカロイドによる。陀羅尼助のおこりは古く、僧侶(そうりょ)が「陀羅尼」という経文を誦(しょう)じるときに眠気をとるために使用したのが始まりとされる。奈良県吉野の洞川(どろがわ)で製造されるものが有名で、現在でも配置家庭薬として利用されている。

[難波恒雄・御影雅幸]

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百科事典マイペディア 「陀羅尼助」の意味・わかりやすい解説

陀羅尼助【だらにすけ】

陀羅助とも。腹痛薬。オウバクアオキの葉などを加えて煮出したエキスを乾燥したもの。黒色の塊,非常に苦い。名称は僧侶が陀羅尼(梵(ぼん)語の経文)を誦じる際,口に含んで眠気を防いだことによるとされる。
→関連項目キハダ(植物)

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世界大百科事典(旧版)内の陀羅尼助の言及

【キハダ】より

…コルク層を除き平板状に乾燥した樹皮を黄蘗(おうばく)(または黄柏)と称し,健胃剤とする。奈良県で作られる陀羅尼助(だらにすけ)(ダラスケともいう)はこの黄蘗のエキスを材料とした胃薬である。材は建築,家具,器具,箱などに用いる。…

【薬】より

…また古代の治療者は呪術者や宗教者と未分化であったから,そのなごりとして社寺が薬を分与する場合がまれでない。大和吉野の大峰から出る〈陀羅尼助(だらにすけ)〉や木曾御岳の〈御百草〉などはその一例である。これらの需要が増加して販売が社寺の手をはなれ,旅の宗教者や行商の手にうつると薬の行商人が成立し,それが定着すると各地にそうした特産地が発生する。…

※「陀羅尼助」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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