女性外陰部の一部で,大陰唇labium majus pudendiと小陰唇labium minus pudendiがある。大陰唇は男の陰囊にあたり,皮下脂肪に富んだ厚い皮膚のひだで左右1対あり,その間に陰裂をはさむ。上部では左右合して恥丘となる。思春期になると,恥丘と大陰唇の外側面には陰毛が発生する。表皮には脂腺,汗腺がよく発達し,真皮には平滑筋が豊富である。小陰唇は陰裂内にあって,男性の陰茎の皮膚に相当する左右1対の縦ひだで,大きさや形には個人差がある。表面は皮膚の重層扁平上皮でおおわれるが粘膜の性質をもち,角化層が薄く毛がなく,汗腺も欠く。表皮の基底層にはメラニンが豊富である。表皮の下の結合組織(固有層)は弾性繊維と静脈叢に富む。なお,多くの哺乳類では大陰唇を欠くことが多い。
→性器
執筆者:藤田 尚男
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女性外陰部の縦裂溝(じゅうれつこう)である陰裂を囲む皮膚のひだ状隆起部をいう。陰裂の両側で幅広い皮膚ひだは大陰唇といい、男性の陰嚢(いんのう)に相当する部分である。大陰唇は陰裂の前後で合流して前・後陰唇交連となる。大陰唇の内側には薄いひだ状の小陰唇があり、前方が高く、後方は低い。大陰唇の皮膚表面は平滑であるが、思春期以後は陰毛を生ずる。皮下脂肪が、とくに前半部に発達し、後方は平滑筋に富む。小陰唇は陰核近くでは2葉に分かれ、陰核を包んで左右小陰唇が合流する。小陰唇の外側面はメラニン色素のため暗赤色を呈するが、内側面は粘膜状で赤色を呈する。小陰唇の形には個人差がある。
[嶋井和世]
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