没骨(読み)モッコツ

デジタル大辞泉 「没骨」の意味・読み・例文・類語

もっ‐こつ【没骨】

中国画の技法の一。輪郭線を用いず、直接彩色して対象を表すもの。花鳥画に用いられ、徐氏体特色とされる。→鉤勒塡彩こうろくてんさい

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精選版 日本国語大辞典 「没骨」の意味・読み・例文・類語

もっ‐こつ【没骨】

  1. 〘 名詞 〙 東洋画の技法の一つ。輪郭の線を描かないで、直接に水墨や彩色でくまどりを主にして対象を描き表わすもの。花鳥画に多く見られる技法で、軽淡・清麗であることが特色といわれる。中国・五代の画家徐熙(じょき)によって創始され、その孫徐崇嗣色彩のぼかしを水墨にかえる技法を完成し、北宋花鳥画に大きな影響を与えた。没骨法。没線(ぼっせん)描法。ぼっこつ。
    1. [初出の実例]「光琳の画の第一の特色は〈略〉没骨的なる処に在り」(出典:墨汁一滴(1901)〈正岡子規〉四月二三日)

ぼっ‐こつ【没骨】

  1. 〘 名詞 〙もっこつ(没骨)〔現代術語辞典(1931)〕

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百科事典マイペディア 「没骨」の意味・わかりやすい解説

没骨【もっこつ】

東洋画の一技法で,鉤勒(こうろく)の対。輪郭線を用いず,水墨や色彩,特にその隈取(くまどり)によって形体感を表現するもの。主として花鳥画に用いられる技法で,北宋の徐崇嗣が創始したと伝える。→徐氏体
→関連項目【うん】寿平相阿弥

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普及版 字通 「没骨」の読み・字形・画数・意味

【没骨】ぼつこつ・もつこつ

輪郭線を加えない画法。宋・轍〔王都尉宝絵堂祠、自注徐煕(じょき)を畫くに筆縱なり。其の子嗣、變格して、五色を以て染就(せんしう)し、筆迹を見(あら)はさず、之れを沒骨と謂ふ。

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改訂新版 世界大百科事典 「没骨」の意味・わかりやすい解説

没骨 (もっこつ)
mò gǔ

中国における絵画の技法の一つで,対象の形態の輪郭を筆線(骨)で括(くく)ることなく,彩色あるいは墨で描くことをいう。本来は,彩色中心の手法で,六朝の梁の張僧繇(ちようそうよう),唐の楊昇らにその作があったと伝えるが,五代以後,花鳥画の技法として安定し,徐熙の孫である徐崇嗣の没骨画が有名である。水墨の没骨は藻魚図などによく用いられるが,これは彩色の没骨画のモノクロームバリエーションと考えられる。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「没骨」の意味・わかりやすい解説

没骨
もっこつ
mo-gu

中国画における彩色画法の一つ。中国の伝統的,基本的画法は,形態を描線でくくって色彩を施し,骨法を明らかにすることであったが,漢・魏・六朝時代すでに輪郭線を描かないで,直接に色彩で描いた山岳図の作例があり,この画法が隋・唐時代に及んだものとみられる。唐末,北宋頃は山水画にも没骨の手法が取入れられたと推測される。没骨画法が十分な表現効果をみせたのは北宋初め,江南の徐氏 (→黄・徐二体 ) の花鳥画で,黄氏の勾勒填彩 (こうろくてんさい) 画法とともに,長く中国花鳥画を支配した。

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世界大百科事典(旧版)内の没骨の言及

【日本画】より

…付立(つけたて)筆,面相筆,線描き筆,彩色筆,隈取筆などがある。付立筆は線描きや没骨(もつこつ)技法などに用途が広く,墨絵に便利。面相筆と線描筆は細い線を引くために用いる。…

※「没骨」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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