雅歌(読み)ガカ(英語表記)Song of Songs
Song of Solomon

デジタル大辞泉 「雅歌」の意味・読み・例文・類語

が‐か【雅歌】

《「雅」は正しい意》みやびやかな歌。格式の高い歌。
《〈ラテンCanticum canticorum旧約聖書の中の一書。神とイスラエル民族、キリスト教会との間の愛の関係を歌ったものともされる。

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精選版 日本国語大辞典 「雅歌」の意味・読み・例文・類語

が‐か【雅歌】

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙 みやびやかな歌。格式の高い歌。⇔俗歌
    1. [初出の実例]「余に永遠希望の雅歌を歌ひくれし比翼を有する森林の親友も」(出典:基督信徒のなぐさめ(1893)〈内村鑑三〉一)
    2. [その他の文献]〔嵆康‐遊仙詩〕
  2. [ 2 ] ( [ラテン語] Canticum Canticorum の訳 ) 旧約聖書中の一書。神とイスラエル民族との愛の関係を歌った歌謡集。

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改訂新版 世界大百科事典 「雅歌」の意味・わかりやすい解説

雅歌 (がか)
Song of Songs
Song of Solomon

原語では〈歌の歌〉で,最もよき歌の意。旧約聖書中のいわゆる〈諸書〉に属する。この書が経典としての旧約に入れられた理由については,種々の説があるが,健全な男女の愛を神がよしとされたと見る見解が,現代ではいちばんわかりよいであろう。事実この書に含まれるものは男女間の愛を歌っており,その根幹は東地中海世界(エジプトを含む)にいちばん深く接したソロモン王の時代にさかのぼると思われる。しかしこの点については種々の説がある。この書の構成についてもいろいろの見方があり,断片的,民間的な歌を集めたものと見る人,ドラマ的構造を想定する人,抒情詩として一貫性を認めようとする人などがある。社会が一応安定したダビデ,ソロモンの時代に,ほかにも抒情詩が世俗的なものを媒介として成立しているところから見て,雅歌の根幹の成立をもそのような背景から解したい。その際エジプトの恋愛詩の影響を想定するのが最近の有力な説である。この書にギリシア語ペルシア語と結びつくヘブライ語が出てくるが,後から入れられたものと見れば,この説の反証にはならない。なお,雅歌が日本新体詩に影響していることは,島崎藤村の《若菜集》に見られる〈ぶどう〉や〈狐〉の修辞的表現からも知られるといわれる。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「雅歌」の意味・わかりやすい解説

雅歌
がか
Song of Songs

『旧約聖書』のなかの一書。ヘブライ語の原題は「歌の中の歌」で、もっとも優れた歌の意。ソロモン王の作に帰せられているが、ソロモンの名が本文中に何度も出てくるのをみると(1、3、8章)、かえってソロモンの作でないことは明らかである。雅歌には、男女がお互いに相手の美しさをたたえる歌が交互にみられるので、元来男女の愛を描いた戯曲的な作品であるという説もある。しかし、戯曲としての一貫した筋をたどることは困難である。むしろ古代イスラエルにおける結婚式の祝いの場で、さまざまに歌い交わされた歌を集めたとみるのが妥当であろう。雅歌の起源については明らかではないが、エジプトの恋愛詩などとの類似も指摘され、エジプトの影響が強かったソロモン王時代を考えることも不可能ではない。

[木田献一]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「雅歌」の意味・わかりやすい解説

雅歌
がか
Shir Hashirim; Song of Solomon

旧約聖書中の一書。いわゆる巻物に属す。原典では『ヨブ記』の次に位置するが,近代語訳では七十人訳聖書 (→セプトゥアギンタ ) に従って預言書の前にくる。著者がソロモンかどうかは疑わしく,内容的にはギリシア時代のもので,男女の愛あるいは勝利を歌った抒情詩のようでもあるが,ユダヤ教によれば神のイスラエルに対する愛を歌ったものであり,キリスト教ではキリストと教会の間の愛の関係を歌ったものとされており,解釈は定まっていない。

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デジタル大辞泉プラス 「雅歌」の解説

雅歌(うた)

矢代静一による戯曲。1954年、文学座により初演。1955年、第1回新劇戯曲賞(のちの岸田国士戯曲賞)の候補作品となる。

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普及版 字通 「雅歌」の読み・字形・画数・意味

【雅歌】がか

正しい歌。

字通「雅」の項目を見る

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世界大百科事典(旧版)内の雅歌の言及

【女神】より

…普遍的にみられる神表象であるが,とりわけ古代オリエント,地中海世界において重要な意義を担っていた。 旧約聖書《雅歌》に美しい花嫁賛歌がある。花嫁は,レバノン山の北の峰を越え,獅子(しし)の住む山,豹(ひよう)の住む山を越えてやってきた。…

【レオン】より

…サラマンカ大学教授となるが,異端審問にかけられ(1572),5年間獄中にあった。その一因は旧約聖書の《雅歌》をヘブライ語原典からカスティリャ語に翻訳注解したことにあったが,これは《雅歌》の恋愛詩としての美しさを際立たせた,優れた業績である。女性風俗に独自の観察をみせる《完全な妻》,著者の内面史でもある《ヨブ記解説》,内容・文体ともに完成された《キリストの名称》は,いずれもカスティリャ語で神学を扱った散文である。…

※「雅歌」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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