雲井竜雄(読み)クモイタツオ

デジタル大辞泉 「雲井竜雄」の意味・読み・例文・類語

くもい‐たつお〔くもゐたつを〕【雲井竜雄】

[1844~1871]幕末志士米沢藩士本名小島竜三郎安井息軒の門に入り、維新後新政府に仕えたが、薩長藩閥に反対して帰藩。のち、新政府打倒をはかり、斬罪ざんざい

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「雲井竜雄」の意味・わかりやすい解説

雲井竜雄
くもいたつお
(1844―1870)

幕末の志士。本名は小島龍三郎(たつさぶろう)、諱(いみな)は守善。米沢(よねざわ)藩士中島家の二男として生まれ、幼名は猪吉。藩校興譲館に学び、18歳のとき同藩士小島才助(家禄(かろく)約17石)の養子となる。1865年(慶応1)21歳のとき江戸警衛に派遣され、儒者安井息軒(そくけん)の塾に入り、広く志士と交わる。その後、藩命を受けて京都に潜行し、情勢把握に努める。大政奉還後、徴士として新政府に仕え、京都にあったが、薩長(さっちょう)軍の野望に激憤して、奥羽列藩同盟の正当性を主張して帰藩した。関東において反薩長の同志を集めていたが、68年6月に出した檄文(げきぶん)「討薩檄」は有名。戊辰(ぼしん)戦争後、竜雄は藩校興譲館助教となり、上京して集議院に出仕したが、まもなく退院し、旧幕臣、脱藩浪士の鎮撫(ちんぶ)・救済を標榜(ひょうぼう)して「帰順部曲点検所(きじゅんぶきょくてんけんしょ)」を設け、同志を集めた。明治3年12月28日、政府転覆陰謀事件を理由に東京で梟首(きょうしゅ)となる。年27歳。墓は米沢市常安寺。

[横山昭男]

『安藤英雄著『雲井龍雄研究 伝記編』(1972・明治書院)』

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朝日日本歴史人物事典 「雲井竜雄」の解説

雲井竜雄

没年:明治3.12.28(1871.2.17)
生年:弘化1.3.25(1844.5.12)
幕末の米沢藩(山形県)藩士。実名は小島竜三郎で,雲井竜雄は変名。慶応1(1865)年江戸詰,安井息軒の三計塾に学び翌年帰藩。同3年1月藩命により上洛。翌明治1(1868)年1月貢士となるが新政府に反発,同5月京を去り帰藩。戊辰戦争の最中,薩長の離間を計り,討薩の檄文を書き配布した。8月米沢藩が降伏,藩命により謹慎。翌年謹慎を解かれ藩校興譲館助教となる。版籍奉還反対の意見書を提出,遊学名目で東京に赴く。同年9月集議院議員となるが,経歴を問題とされるや憤激の詩を壁に記して去る。翌年2月,会津藩士原直銕らと東京芝に帰順部曲点検所を設立し,政府転覆を画策,これが発覚し斬に処せられた。「死するに死を畏れず,生くるに生を偸まず。男児の大節,光日と争う。道の苟直,鼎烹を憚らず。渺然一身,万里長城」の詩を残す。享年28歳。<参考文献>石倉惣吉『志士雲井竜雄』

(井上勲)

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改訂新版 世界大百科事典 「雲井竜雄」の意味・わかりやすい解説

雲井竜雄 (くもいたつお)
生没年:1844-70(弘化1-明治3)

幕末・維新期の志士,詩人。姓は小島,諱(いみな)を守善,通称に竜三郎,竜雄などがあり,雲井は変名である。米沢藩中島家に生まれ,同藩小島家の養子となる。天性詩才に恵まれ,藩内では不遇だったが,1865年(慶応1)江戸に出て安井息軒の門に入ってから頭角を現した。戊辰戦争に際しては関東で奥羽越列藩同盟を支援する組織活動につとめ,新政権確立後も東京に反政府の同志を集めたため捕縛・梟首(きようしゆ)された。《雲井竜雄全集》がある。
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百科事典マイペディア 「雲井竜雄」の意味・わかりやすい解説

雲井竜雄【くもいたつお】

幕末〜維新期の出羽(でわ)米沢藩の志士。本名は小島守善,通称竜三郎。雲井は変名。江戸で安井息軒の門に学び志士と交わる。戊辰戦争では奥羽越(おううえつ)列藩同盟を関東で支援した。維新後は徴士・貢士として新政府に仕えたが,薩長専制に不満を抱き政府大官暗殺を企てた。1870年これが発覚し,斬首。

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「雲井竜雄」の解説

雲井竜雄 くもい-たつお

1844-1871* 幕末の武士。
天保(てんぽう)15年3月25日生まれ。出羽(でわ)米沢藩(山形県)藩士。小島家の養子となる。安井息軒に師事。戊辰(ぼしん)戦争で奥羽越列藩同盟を支援し,謹慎処分をうける。明治2年上京,芝に帰順部曲点検所をもうけて旧幕臣,脱藩浪士をあつめたが,新政府転覆計画とみなされ,明治3年12月28日処刑された。27歳。本姓は中島。名は守善。通称は竜三郎。
【格言など】死して死を畏れず,生きて生を偸(ぬす)まず(辞世)

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