護摩の灰(読み)ごまのはい

  • ごま
  • ごまのはい〔はひ〕
  • の 灰(はい)
  • 護摩
  • 護摩の灰/×胡麻の×蠅

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

江戸時代,道中荒し,枕さがしなどを働いた小盗賊。「胡麻の蠅」は俗称。その語源は元禄年間 (1688~1704) 高野聖と偽称し,弘法大師の「護摩」と称するものを街道筋で売歩き,巧みに町家に取入って宿泊しては物品を盗み,娘をかどわかした者があったことによるといわれる。護摩化 (ごまか) す,あるいは胡麻にたかったのように,良悪見分けにくいところからこう呼ばれたとの説もある。悪雲助とともに,道中で最も警戒すべきものの一つで,幕府道中奉行取締らせたが,根絶はできなかった。

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精選版 日本国語大辞典の解説

① 密教で、護摩を修する時に焚く護摩木などの灰。
② (高野聖(こうやひじり)の扮装をして、弘法大師の修した護摩の灰と称して押売りを行なった者の呼び名からという) 江戸時代、人をだまして金品を取る坊主。売僧(まいす)
※浄瑠璃・当麻中将姫(1714頃)三「扨は今時はやるごまの灰にだまされ給ふな」
③ (②から転じて) 旅人を装い、旅客の金品を盗み取る者の称。多く、旅客の道づれとなって盗みをはたらいた。ごま。胡麻の蠅。
※評判記・役者舞扇子(1704)京「つづいて二のかはり傾城雪の白山に、ごまのはいとなり、詞をなまりて旅人をたらすてい」
[補注](1)元祿期頃(一六八八‐一七〇四)ゴマノハイが使われ始めるが、ゴマノハエの形が見られるのは、少なくとも江戸に関しては、文化期頃(一八〇四‐一八)であること、「俚言集覧」に、「護摩の灰〈略〉愚案、如今の音呼胡麻の蠅の如くいふ」とあることなどからゴマノハイの方が本来の語形であろう。
(2)近世では、一般にゴマが「護摩」と「胡麻」、ハイが「灰」と「蠅」両様の意味を表わすことができたところから、「胡麻の蠅」という表現が生じたものと思われる。

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世界大百科事典内の護摩の灰の言及

【護摩】より

…修法の目的・趣旨を板片や紙に記したものを護摩札(ごまふだ)といい,護符に用いられる。また,護摩木の燃え残りや灰を服用したりお守りとする信仰も広く行われ,かつて高野山奥の院の護摩の灰は最も有名であったが,悪用されたことから悪人の代名詞となった。護摩は修験道や神道でも行われ,とくに修験道では野外で盛大な火を焚く柴(採)灯(さいとう)護摩を生んだ。…

※「護摩の灰」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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