霍光(読み)カクコウ

デジタル大辞泉 「霍光」の意味・読み・例文・類語

かく‐こう〔クワククワウ〕【霍光】

[?~前68]中国前漢政治家霍去病かくきょへい異母弟武帝に長く仕え、帝の死後昭帝補佐。昭帝の死後は宣帝を擁立し、娘を皇后にして権勢を極めたが、その死後族滅された。

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精選版 日本国語大辞典 「霍光」の意味・読み・例文・類語

かく‐こうクヮククヮウ【霍光】

  1. 中国、前漢の名臣。武帝に仕え、大司馬大将軍となる。帝の没後実権を握って幼主昭帝を補佐し、昭帝没後は宣帝をたてて、権力一身に集めた。前六八年没。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「霍光」の意味・わかりやすい解説

霍光
かくこう
(?―前68)

中国、前漢中期の政治家。霍去病(かくきょへい)の異母弟。そのために若くして武帝の側近抜擢(ばってき)され、奉車都尉(とい)、光禄勲(こうろくくん)を歴任した。武帝没後、孫娘を昭帝の皇后とし、権力を振るったので、上官桀(じょうかんけつ)、桑弘羊(そうこうよう)ら武帝政策の継承派とは対立した。紀元前80年、燕王旦(えんおうたん)の謀反事件に乗じてこれら政敵を一掃した。さらに宣帝を擁立して一族すべて顕官を占め、霍氏の権勢は頂点に達した。しかし、前68年に彼が死ぬと皇帝親政が始まり、霍氏は反逆汚名を着せられて族滅された。光は昭帝期には大司馬大将軍で尚書を兼ね、軍事とあわせ内朝にあって政治を専断した。こののち、丞相(じょうしょう)以下の外朝は単なる行政事務機関として働くにすぎなくなった。このような内・外朝という機構が密接な関係を失うと、皇帝の一貫した政治機能が弱化し、党派が形成されて相争うようになる。霍光の内朝専権という政治形態は、後漢(ごかん)期における外戚(がいせき)、宦官(かんがん)の党争の源となった点で見過ごすわけにいかない。

[好並隆司]

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改訂新版 世界大百科事典 「霍光」の意味・わかりやすい解説

霍光 (かくこう)
Huò Guāng
生没年:?-前68

中国,前漢の政治家。字は子孟。霍去病(かくきよへい)の異母弟で10余歳で郎となり,武帝に信任されて大司馬大将軍となった。武帝が死去すると,遺詔をうけて8歳の昭帝を補佐し,民治につとめて善政と称された。在位13年で昭帝が死去して宣帝を擁立すると,娘を皇后にして外戚となり,権勢を一身に集め,一門は栄達をきわめたが反感もつのり,彼が病死すると反逆の罪で一族は滅ぼされた。大将軍として前後20年の執政は,その後内朝の政治干与を生むことになった。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「霍光」の意味・わかりやすい解説

霍光
かくこう
Huo-Guang; Huo-Kuang

[生]?
[没]地節2(前68)
中国,前漢中期を代表する文臣。字は子孟。前漢の武帝時代の将軍霍去病 (かくきょへい) の異母弟。若いとき宮中に入って武帝に仕え,小心謹慎,その信任を得る。大司馬大将軍となり,武帝の遺詔を受けて昭帝を補佐,外孫を皇后に立て外戚となる。武帝の経済政策の存廃をめぐっての会議を開き,その廃止を決定した (これは「塩鉄論」として有名) 。昭帝死後,昌邑王賀を立てたがすぐに廃し,宣帝を民間より迎え,娘を皇后に立てたが政治はすべて彼に関白して決した。霍氏はこうして栄えたが,宣帝はこれを憎み,光の死後彼の一族を滅ぼした。

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世界大百科事典(旧版)内の霍光の言及

【関白】より

…天皇を補佐して政務を執行する職。執柄(しつぺい),博陸(はくろく),霍光(かくこう)ともいう。中国前漢の宣帝が霍光に対し,〈諸事皆まず関(あずか)り白(もう)すべし〉と命じたのに由来するが,日本では宇多天皇が887年(仁和3)太政大臣藤原基経に対して下した詔に関白の語がみえるのが初例。…

【摂政】より

…もっとも《史記》五帝本紀は,尭が舜を挙げ,舜に政を摂らしめたということを記すが,尭舜伝説より周公摂政の方がはるかに儒教伝説として重要であり,孔子の尊崇した聖人周公のことであるから直接関係が深い。漢の昭帝が幼かったので霍光(かくこう)が武帝の遺詔により政を摂ったのが外戚摂政の実例であろう。また漢の高祖の死後恵帝の時代に呂太后が政治の実権を握り,太后称制といって,皇帝の母親が後見としていわゆる垂簾の政を行った(皇太后)。…

※「霍光」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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