青梅市（読み）オウメシ

デジタル大辞泉

おうめ‐し〔あをめ‐〕【青梅市】

⇒青梅

出典　小学館

日本歴史地名大系

青梅市
おうめし

面積：一〇三・二六平方キロ

東京都の北西部に位置する。羽村（はむら）市・あきる野市・西多摩郡日の出（ひので）町、西部は同郡奥多摩町、北部は埼玉県入間（いるま）郡名栗（なぐり）村・同県飯能市、東部は同県入間市と接する。南西部に大塚（おおつか）山（九二〇・三メートル）・御岳（みたけ）山（九二九メートル）・鍋割（なべわり）山（一〇八四メートル）・日の出山（九〇二メートル）などがあり、奥多摩町域から東流してきた多摩川に大沢（おおさわ）川・平溝（ひらみぞ）川などが合流して市域南部を流れる。北西部に黒（くろ）山（八四二・三メートル）・岩茸石（いわたけいし）山（七九三メートル）・高水（たかみず）山（七五九メートル）などがあり、成木（なりき）川に北小曾木（きたおそき）川・黒沢（くろさわ）川が合流して飯能市域で入間川に注ぐ。この入間川と多摩川水系を分けるのが永山（ながやま）丘陵で、これより派生した加治（かじ）丘陵の南縁を霞（かすみ）川が東流する。JR青梅線、国道四一一号や青梅街道・奥多摩街道などが通り、圏央道青梅インターチェンジがある。市域の西部は秩父多摩甲斐国立公園。

〔原始・古代〕

市域は南部の多摩川水系に属する地域と、北部の荒川水系に属する地域に分けられ、流域別に特色ある遺跡分布を示す。とくに旧石器時代や弥生時代から古墳時代の遺跡は、関東ローム層が安定した台地と沖積地の発達した霞川流域（荒川水系）に集中する。旧石器時代は今井（いまい）・城の腰（しろのこし）遺跡、馬場（ばば）遺跡、丸山（まるやま）遺跡などでナイフ形石器・細石刃・細石核・石槍が出土している。縄文時代では早期・前期の古い段階のものが大規模とは考えにくいが、崩橋（くずれはし）遺跡・大平（おおだいら）遺跡などで確認されている。中期にいたって台地の縁辺に住居を配したいわゆる環状形態の遺跡が出現、桜橋原（さくらばしはら）遺跡・大平遺跡・駒木野（こまぎの）遺跡などがこれである。中期末には多摩川の豊富な石材を生かして柄鏡形の敷石住居が多く作られ、裏宿（うらじゆく）遺跡・大船（おおぶね）遺跡などで発見されている。後期から晩期には遺跡が激減するが、喜代沢（きよさわ）遺跡は多摩川流域では数少ない後期から晩期にかけて営まれた遺跡で、配石遺構や住居群が確認されている。寺改戸（てらかいと）遺跡では後期の墓域が確認され、ここから出土した加曾利B式の注口土器とコップ形土器は国指定重要文化財。

弥生時代では中期後半の住居群が馬場遺跡で確認され、有孔磨製石鏃・片刃磨製石斧などが出土している。古墳時代では前期の大集落の一部が霞台（かすみだい）遺跡群（野上・大門・今寺地区）で発見されている。奈良時代後半以後には、霞川流域の諸遺跡はもとより新たに多摩川流域の平坦地に進出し、裏宿遺跡からは住居群が確認されている。律令制下の当市域は多摩郡に所属する。

出典　平凡社「日本歴史地名大系」

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

青梅〔市〕
おうめ

東京都西部，多摩川の上流域にある市。 1951年青梅町，調布村，霞村が合体して市制。 55年小曾木，成木，吉野，三田の4村を編入。中心市街地の青梅は，青梅街道沿いの宿駅および山地と平野の交易地として発達した典型的な谷口集落。江戸時代に本格的な機業地に成長。江戸への木材供給地として発達した青梅林業の歴史も古い。綿夜具の産地として有名。近年東部平地に精密，電子工業，家具などの工場も進出。 JR青梅線沿線が住宅化し，東京への通勤圏となった。市域の南西部に御岳山，御嶽神社，御岳渓谷，吉野梅郷などの名所やレクリエーション地がある。一帯は秩父多摩甲斐国立公園に属する。市域南東部はアカマツ，雑木林におおわれ，植物の種類も多く，羽村草花丘陵都立自然公園に属する。青梅線沿線には境内の本堂，阿弥陀堂が重要文化財に指定されている塩船観音寺や玉堂美術館，吉川英治記念館，青梅鉄道公園などユニークな文化施設も多い。御嶽神社の宝物殿には国宝の赤糸威鎧，円文螺鈿鏡鞍や重要文化財が多数所蔵され，境内には天然記念物の神代ケヤキがある。毎年2月に行われる青梅マラソンは，1万人余の市民参加で有名。面積 103.31km²。人口 13万3535（2020）。

出典　ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典