青海(読み)セイカイ

デジタル大辞泉 「青海」の意味・読み・例文・類語

せいかい【青海】

中国西部の省。省都は西寧少数民族が多く、多くの民族自治州を含む。牧畜が盛ん。塩湖が多く、塩の産出が大。人口、543万人(2005)。チンハイ
中国青海省東部にある中国最大の塩湖。面積4635平方キロメートル。青塩とよばれる塩が特産。

あお‐うみ〔あを‐〕【青海】

青々とした海。青海原あおうなばら

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精選版 日本国語大辞典 「青海」の意味・読み・例文・類語

せい‐かい【青海】

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙 ( 「せいがい」とも ) 青々とした海。滄海。あおうみ。
    1. [初出の実例]「青海千里外、白雲一相思」(出典:懐風藻(751)秋日於長王宅宴新羅客〈百済和麻呂〉)
  2. [ 2 ]
    1. [ 一 ] 中国、青海省北東部にある湖。中国最大の塩湖。面積四六三五平方キロメートル。湖面標高三一九六メートル。モンゴル語名ココノール(ホフノルとも)。〔北史‐吐谷渾伝〕
    2. [ 二 ] 中国西北部の省。チベット高原の北東部にある。漢代から唐代に西羌(せいきょう)・吐谷渾(とよくこん)・吐蕃(とばん)などと呼ばれた地域。一九二八年に成立。省都は西寧。

あお‐うみあを‥【青海】

  1. 〘 名詞 〙 青々としている海。
    1. [初出の実例]「滄溟 アヲウミ アヲウミノハラ」(出典:色葉字類抄(1177‐81))

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「青海」の意味・わかりやすい解説

青海(省)
せいかい / チンハイ

中国、西北地区南部の省。略称は青。面積72万1200平方キロメートル、人口480万4160(2000)。省政府所在地は北東部の西寧(せいねい)市。周囲を祁連(きれん)、崑崙(こんろん)、タングラ、西傾(せいけい)山などの山脈に囲まれ、全域が青蔵高原の北東部分をなす。標高2500~4000メートル。中央部をブルハンブダイ、積石(せきしゃく)、バインハルの山脈が東西に走り、南北を分ける。北部は祁連の山地で、東西に走る数列の平行山脈からなり、南北幅最大300キロメートル、南東には中国最大の塩水湖、青海湖がある。西寧付近は黄河支流湟水(こうすい)の河谷平野で、黄土高原の南西縁にあたり比較的雨量も多い。北西部はチャイダム盆地で面積約22万平方キロメートル、40余の内陸河川がある。盆地西部はゴビ(礫質(れきしつ)砂漠)、風食地、東部はステップや沼沢、塩湖が多く、その間に小規模な砂漠が広がる。1月の平均気温は零下10℃より低いが、夏季は30℃を超え、雨量も少ないため、北西乾燥区への過渡的タイプを示す。省南部は青海高原で標高平均4000メートル、アムネマチンやグラタンドンなど高峰も多い。北部は黄河の源流地域で、ギャリンノールオリンノールなど湖沼が分布し、南部は揚子江(ようすこう)やメコン川の源流地域である。気候は寒冷で、西方の山地では氷河や高冷地砂漠が発達する。

 農業は、全域では青稞(チンコー)(ハダカエンバク)栽培が主であるが、湟水河谷では小麦、アワなどの栽培が盛んである。チャイダム盆地のシャンリデや都蘭(とらん)などでは解放軍によって開墾された耕地が広がり、灌漑(かんがい)農業が発達している。青海省はまた中国有数の牧畜地域である。全省で利用可能な牧草地は約3320万ヘクタール、チャイダム盆地の海西、南部の玉樹、ゴログではヒツジやヤクの飼育が行われている。青海省全体での工業的基礎は弱いが、西寧には毛織物、農業機械などの近代工場がある。チャイダム盆地の油沙山(ゆささん)、マンナイ、冷湖などは石油の産地で、チャルハン塩湖やツァカ塩湖では塩やカリ塩が採取される。

 青海省には2000年以前よりチベット系の羌(きょう)が居住、王莽(おうもう)の時代には西海郡が設けられた。のち、吐谷渾(とよくこん)や吐蕃(とばん)が勢力をもったが、宋(そう)代には西寧付近に州が置かれた。清(しん)代には北部はモンゴル29族、南部は土司(どし)49族が置かれ、1928年青海省となった。

 省内には西寧、ゴルムド、ドーリンハーの3市のほか民族自治州が六つあり、チベット族モンゴル族サラール族など少数民族も多い。また、西寧を起点に青蔵、青新両自動車道や蘭青(らんせい)鉄道が通り、近年、青蔵鉄道もゴルムドまで敷設されている。

[駒井正一]


青海
おうみ

新潟県西端、西頸城郡(にしくびきぐん)にあった旧町名(青海町(まち))。現在は糸魚川市(いといがわし)の東部を占める地域。旧青海町は1927年(昭和2)町制施行。1954年市振(いちぶり)、上路(あげろ)、歌外波(うたとなみ)村と今井村の一部を編入。2005年(平成17)糸魚川市に合併。えちごトキめき鉄道(旧、JR北陸本線)、国道8号が通じる。北アルプスの山地が日本海に断崖(だんがい)で突入する親不知・子不知(おやしらずこしらず)の険で有名な北陸道の難所で、『延喜式(えんぎしき)』の宿駅滄海(おうみ)が置かれた所。近世は北陸街道の宿場町であり、越中(えっちゅう)(富山県)境には市振関も置かれた。古くは半農半漁の寒村であったが、付近は埋蔵量2億トンといわれる石灰岩の宝庫で、1921年(大正10)青海電化工場が創設されてから、急激に近代化学工業都市に発展した。旧町域の人口の70%は電化工場関係者で、セメント、化学製品を中心に窒素肥料も生産している。カルスト地形の名所や親不知の険、橋立ヒスイ峡などの景勝地があり、親不知子不知県立自然公園に指定され、観光地としても有名。

[山崎久雄]

『青木重孝著『青海』(1966・青海町)』


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百科事典マイペディア 「青海」の意味・わかりやすい解説

青海[省]【せいかい】

中国北西部の省。簡称は青。省都は西寧。青蔵高原の北東部にあり大部分が標高3000m以上,北部に祁連(きれん)山脈アルトゥン山脈,その南にチャイダム盆地と青海盆地があり,さらに南に崑崙(こんろん)山脈,巴顔喀喇(バヤンハラ)山脈,南境に唐古拉(タングラ)山脈が東西に走る。黄河,長江の水源地。気候は寒冷で,降水量は少ない。交通は自動車道路が主で甘青・青蔵・青新・敦格公路などが開通し,鉄道は蘭青鉄路(蘭州〜西寧),青蔵鉄路(西寧〜ラサ)が通じている。牧畜が最も発達し羊のほかヤクも多い。地下資源には石炭,鉄,石油などが豊富である。工業には製油,毛織,畜産加工などがある。民族構成は漢族(50%前後)のほか,チベット族,モンゴル族,カザフ族など。72万1200km2。566万人(2014)。
→関連項目楼蘭

青海[町]【おうみ】

新潟県南西端,西頸城(にしくびき)郡の旧町。日本海に面し,山地が海に迫って親不知(おやしらず)の断崖をなし,海岸沿いに北陸本線,北陸自動車道が通じる。中心は近世北陸街道の宿場町で,1921年南部の山地の石灰岩を利用して石灰窒素などの工場が立地して急速に発展,鉱工業が中心となっている。2005年3月西頸城郡能生町と糸魚川市へ編入。129.13km2。1万33人(2003)。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「青海」の意味・わかりやすい解説

青海
おうみ

新潟県南西部,糸魚川市北西部の旧町域。日本海に面する。 1927年町制。 1954年歌外波村,市振村,上路村の3村と今井村の一部を編入。 2005年糸魚川市,能生町と合体して糸魚川市となる。中心集落の青海は旧北陸街道の宿場町として発展。 1921年青海石灰岩を原料とする化学工場が創設されて以来,化学肥料,セメント,合成樹脂を中心とする化学工業の町に発展した。しかし石油化学工業の発展に伴って有機化学工業に転換,親不知,子不知を中心とした観光開発も進める。青海川の硬玉産地 (国指定天然記念物) ,寺地遺跡 (国指定史跡) などがあり,親不知子不知県立自然公園に属する。「竹のからかい」は国の重要無形民俗文化財。

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日本歴史地名大系 「青海」の解説

青海
おうみ

二冊 青木重孝編 昭和四一―四八年刊

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旺文社世界史事典 三訂版 「青海」の解説

青海
せいかい
Qīnghǎi

中国中北部,青海省の北東部にある中国最大の塩湖。モンゴル語ではココ−ノール(青い湖)の意
青海省はチベット高原の北東部,万年雪をいただく高山が多く,黄河・長江ともここに源を発する。湖辺にはモンゴル族・チベット族などがおもに牧畜生活を営んでいる。

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改訂新版 世界大百科事典 「青海」の意味・わかりやすい解説

青海 (おうみ)

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