非人手下(読み)ヒニンテカ

デジタル大辞泉 「非人手下」の意味・読み・例文・類語

ひにん‐てか【非人手下】

江戸時代庶民に科した刑罰の一。非人身分に落とし、非人頭ひにんがしら配下に編入した。

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精選版 日本国語大辞典 「非人手下」の意味・読み・例文・類語

ひにん‐てか【非人手下】

  1. 〘 名詞 〙 江戸時代の刑罰の一つ。一般の者で、心中などの罪によって、非人の身分に落とされた者。弾左衛門立会の上、非人頭に渡され、その配下とされた。
    1. [初出の実例]「一主人と下女相対死いたし損、主人存命に候はば非人手下」(出典:徳川禁令考‐別巻・棠蔭秘鑑・亨・五〇・享保七年(1722))

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改訂新版 世界大百科事典 「非人手下」の意味・わかりやすい解説

非人手下 (ひにんてか)

江戸時代の刑罰のうちの一種で,罪人を非人身分に落とすもの。幕府の《公事方御定書》によれば,以下のような場合に科せられた。姉,妹,伯母,姪との密通は,男女ともに遠国非人手下。不義の男女が相対死(あいたいじに)(心中)を図り,双方死にそこなったときは,両人ともに三日晒(さらし)のうえ非人手下。主人と下女とが相対死をして,主人のみ生き残ったときは,その主人は非人手下。三笠付(みかさづけ)の句拾いや,取退無尽(とりのきむじん)の札売り(いずれも賭博の取次)は家財取上非人手下。離別の妻を傷つけた者は入墨のうえ遠国非人手下。15歳以下の無宿者が路上などにおいて小盗をしたときにも非人手下に処せられた。言渡しを受けた罪囚は,〈穢多頭(えたがしら)〉弾左衛門立会いのもと,非人頭へ,遠国非人手下の場合は弾左衛門を通じて江戸より20里外の在方非人小屋頭へ引き渡され,非人の籍に入った。刑期無期で,(しや)によってのみ,もとの身分へ復帰(足洗い,足抜き)することができた。
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山川 日本史小辞典 改訂新版 「非人手下」の解説

非人手下
ひにんてか

一般庶民を非人身分にくみいれる江戸時代の刑罰。「公事方御定書」には,(1)姉・妹・伯母・姪との密通の男女,(2)心中の両者生存,下女と心中の生き残った主人,(3)三笠付句拾(みかさづけくひろい),取退無尽札売(とりのきむじんふだうり),(4)離別の妻への疵付(きずつけ),(5)15歳以下の無宿の小盗,が非人手下に処されると規定されている。このうち(1)(4)は遠国非人手下で,(2)の前者は3日晒(さらし),(3)は家財没収,(4)は入墨が付加されている。江戸で執行の際,非人手下は穢多頭弾左衛門の立会いで非人頭に,遠国非人手下は弾左衛門に引き渡された。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「非人手下」の意味・わかりやすい解説

非人手下
ひにんてか

江戸時代,庶人に科せられた刑罰の一つ。『公事方御定書』には,以前よりの例として,「弾左衛門立会いのうえ,非人頭へ渡す」とある。つまり,その籍に入れ,非人としてしまうことをいう。また,特に罪科の重い場合は,遠国に送遣して遠国非人手下とされた。心中 (相対死) して双方とも死にそこなった場合には,男女とも3日さらしのうえ弾左衛門引渡しに,また姉妹,伯母,姪と密通した場合には遠国非人手下にそれぞれ処せられる定めであった。

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