韓族(読み)かんぞく

精選版 日本国語大辞典 「韓族」の意味・読み・例文・類語

かん‐ぞく【韓族】

  1. 〘 名詞 〙 古代朝鮮半島の南半部に住んでいた民族。のちの朝鮮民族母体となったもので、農耕文化をもち、数多くの部族集団に分かれていた。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

山川 世界史小辞典 改訂新版 「韓族」の解説

韓族(かんぞく)

およそ1~4世紀頃の朝鮮半島中・南部に勢力を有した古代の種族馬韓(ばかん)辰韓(しんかん)弁韓(べんかん)(弁辰(べんしん))からなり,三韓とも総称される。馬韓が現在の京畿,忠清,全羅の各道,辰韓慶尚北道弁韓が慶尚南道を占めていたと推定される。『魏志』韓伝によると,3世紀頃,馬韓は50余の小国が分立して総戸数10余万戸に達し,辰韓,弁韓は各12の小国に分かれ,合計4~5万戸を数えた。各小国には臣智(しんち),邑借(ゆうしゃく)などと呼ばれる首長がいて,楽浪郡帯方郡2郡の統制に服していたが,ときには自立の動きをみせることもあった。313年の楽浪・帯方2郡の滅亡契機に小国統合が進み,馬韓から百済が,辰韓から新羅が成長するが,弁韓を中心とした地域は政治的統一が実現しないまま加耶(かや)(加羅(から))諸国となった。

出典 山川出版社「山川 世界史小辞典 改訂新版」山川 世界史小辞典 改訂新版について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「韓族」の意味・わかりやすい解説

韓族
かんぞく
Hanjok

朝鮮民族の別称。朝鮮民族の活動を記録した最古の最も詳細な中国史料『三国志魏志東夷伝によれば,3世紀なかば頃朝鮮民族は半島南部の地に,馬韓辰韓弁辰 (弁韓) の三国に分れ (→三韓 ) ,それぞれがまたいくつかの小部族国家から形成されていたという。馬韓はほぼ半島南西部,辰韓はほぼ南東部に拠り,中間に弁辰諸国があったとされている。なお韓の語義諸説あって不定。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

旺文社世界史事典 三訂版 「韓族」の解説

韓族
かんぞく

古代朝鮮半島の南半にいた種族の総称
『三国志』魏志東夷伝によると,3世紀ころ韓族は言語や習俗によって,馬韓・弁韓・辰韓に分かれていた。中国へ朝貢を行っていたが,4世紀になって,楽浪郡が高句麗に滅ぼされるなど,中国の朝鮮半島に対する郡県支配は終わり,韓族による国家建設が活発化した。馬韓の地は百済に,辰韓は新羅に,馬韓南部と辰韓はいわゆる任那となった。

出典 旺文社世界史事典 三訂版旺文社世界史事典 三訂版について 情報

今日のキーワード

カイロス

宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発を進めるイプシロンSよりもさらに小さい。スペースワンは契約から打ち上げまでの期間で世界最短を...

カイロスの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android