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頭蓋内圧亢進/脳ヘルニア ずがいないあつこうしんのうへるにあ Intracranial Hypertension / Cerebral Herniation

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家庭医学館の解説

ずがいないあつこうしんのうへるにあ【頭蓋内圧亢進/脳ヘルニア Intracranial Hypertension / Cerebral Herniation】

◎脳組織増大や血腫(けっしゅ)でおこる
[どんな病気か]
 頭蓋(ずがい)はかたい頭蓋骨でおおわれているため、頭蓋内の容積はかぎられています。そのため、脳組織や髄液(ずいえき)などが増大したり、脳腫瘍(のうしゅよう)や血腫(血のかたまり)などの占拠物が発生したりすると、脳の中の圧が高くなってきます。この状態を頭蓋内圧亢進といいます。
 脳には代償機能(だいしょうきのう)が備わっているので、頭蓋内の圧を高くする原因が加わっても、初めのうちは、圧が高くならないように、食い止めることができます。しかし、いったん代償機能がくずれると、頭蓋内の内容物のわずかな増大にも耐えきれなくなり、圧が高くなってきます。
 頭蓋内の圧が非常に高くなると、圧に押されて脳の組織の一部が正常な位置からはみ出してしまい、周囲の脳組織を圧迫するようになります。このような状態を脳ヘルニアといいます(図「脳ヘルニア」)。
 脳にこのような変化がおこると、頭蓋内圧がますます高くなり、脳に加わる障害もさらにひどくなるという悪循環が生じ、脳のはたらきが低下して生命が危険になってきます。
[原因]
 頭蓋内圧が高くなる原因には、つぎのようにいろいろなものがあります。
①正常ではない占拠物(脳腫瘍(のうしゅよう)、頭蓋内血腫(ずがいないけっしゅ))の発生。
②頭蓋内の病変にともなう脳の容積の増大(脳浮腫(のうふしゅ))。
脳脊髄液の通過障害による頭蓋内の髄液の増大(水頭症(すいとうしょう))。
④脳の循環障害(とくに静脈系が閉塞(へいそく)する静脈洞血栓症(じょうみゃくどうけっせんしょう))。
⑤頭蓋の病的な狭小(狭頭症(きょうとうしょう)、外傷による頭蓋骨の巨大陥没骨折(かんぼつこっせつ))。
◎急性のものは生命にかかわる
[症状]
 頭蓋内圧亢進の症状は、短時間のうちに急速に現われてくる場合(急性症状)と、長い時間をかけて徐々に現われてくる場合(慢性症状)とがあります。
●急性症状
 見た目にわかる症状としては、意識障害瞳孔不同(どうこうふどう)(片側の瞳孔が開きっ放しになる)、からだの片側のまひ、除脳硬直(じょのうこうちょく)(手足が突っ張ったままになる)、呼吸困難などがあります。
 検査を行なうと、対光反射の減弱や消失(光を直接、目に当てても瞳孔が縮まない)、脈圧(みゃくあつ)の増大、脈拍数の減少、血圧の上昇、腱反射(けんはんしゃ)の異常などがみられます。
 これらは、たいていは側頭葉(そくとうよう)の内側にある鉤部(こうぶ)が天幕切痕部(てんまくせっこんぶ)(図「脳ヘルニア」)から下方へ入りこんで、中脳(ちゅうのう)や動眼神経(どうがんしんけい)を障害したためにおこる症状です。
 放置すると、脳幹(のうかん)に元へはもどらない障害が生じ、生命が危険になります。
●慢性症状
 頭痛と嘔吐(おうと)がおもな症状です。
 早朝におこる頭痛と、噴水のように吐くことが特徴的です。
 長い期間、頭蓋内圧亢進が続くと、眼底検査(がんていけんさ)でうっ血乳頭(けつにゅうとう)がみられます。
 また、物が二重に見える複視(ふくし)がおこることもありますし、検査を行なうと、眼球が外側のほうへは動かない外転神経(がいてんしんけい)まひがみられます。
◎低体温療法に期待
[治療]
 原因に応じた治療が行なわれます。
 頭蓋内圧を下げる治療としては、占拠物の摘出をはじめ、髄液の排除、頭蓋骨を切り取ったままにして圧が上がらないようにする減圧手術(げんあつしゅじゅつ)、頭蓋内圧降下剤や副腎皮質(ふくじんひしつ)ホルモン薬などを使用して、脳にむくみ(浮腫)がおこらないようにする抗浮腫療法(こうふしゅりょうほう)などがあって、必要に応じて行なわれます。
 呼吸状態をよくし、血液中の酸素濃度を十分に保ち、血液中の炭酸ガス濃度を低くすることも必要です。
 さらに、大量のバルビタールを使用して、眠らせておく冬眠療法が行なわれることがありますが、最近は、脳の温度を下げ、脳のはたらきの保護をはかる低体温療法が再び見直されてきました。
 低体温療法とは、体温を下げることによって、頭蓋内圧の上昇を抑えたり、血流や酸素の不足から、脳を保護することができるというものです。
 最近、脳の温度(脳温)の測定も可能になり、からだごと33℃前後に冷やして維持する方法がすすんでいます。これによって、脳に重症の障害を受けた患者さんでも、救命できたり、神経機能が予想以上に改善することがあります。
 ただし、体温を元にもどすときの管理がむずかしく、心臓への影響や、細菌に対する抵抗力が下がる、出血しやすくなるなどの課題が残っていますが、今後の進歩が期待されています。

出典|小学館
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それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。この事典によって自己判断、自己治療をすることはお止めください。あくまで症状と病気の関係についてのおおよその知識を得るためのものとお考えください。

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