臨済宗永源寺派、山号天柱山、本尊正観音。安国頼久禅寺を正式の寺号とする。開山は永源寺派の宗祖寂室元光、開基は元光の高弟霊仲禅英(山上宗譜図)。草創当時は
永正年中(一五〇四―二一)松山城主上野頼久が荒廃していた伽藍を再興し、旧寺号の天忠をもって山号を天柱山と定め、頼久を寺号に加えたと伝える。天正三年(一五七五)毛利輝元が松山城主三村元親を攻略した備中兵乱で戦火にかかり、伽藍・什宝を失ったが、乱後輝元の命により松山城将天野中務元明・同五郎右衛門元信によって復興されたという(「頼久寺由来略記」寺蔵)。
出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報
岡山県高梁(たかはし)市頼久寺町にある臨済(りんざい)宗永源寺(えいげんじ)派の寺。詳しくは天柱山安国頼久寺と号する。本尊は聖観世音菩薩(しょうかんぜおんぼさつ)。暦応(りゃくおう)年間(1338~42)足利尊氏(あしかがたかうじ)が日本六十六国に安国寺を建立したとき、天台宗天忠寺の廃址(はいし)に天柱山安国寺を建てたのが始まりで、近江(おうみ)(滋賀県)の永源寺を創建した寂室元光(じゃくしつげんこう)を開山とする。その後衰退したのを、1504年(永正1)備中(びっちゅう)松山城主上野頼久が再興し、その子守頼が父の名を加えて安国頼久寺と改称した。小堀遠州作の庭園は国指定名勝。寺宝には絹本着色釈迦(しゃか)三尊像(国重要文化財)などがある。
[菅沼 晃]
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