顔面角(読み)がんめんかく(英語表記)facial angle

  • 顔面角 facial angle

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

普通は,前頭骨縫合中央点と上歯槽前下縁中央点とを結んだ直線が,眼窩下縁と外耳孔上縁を結ぶ耳眼水平面となすのことで,全側面角ともいう。口吻部の突出度合を表わす。 70.0度未満を過突顎 (ゴリラ 55度) ,70.0~79.9度を突顎 (オーストラリア先住民 76.8度,黒人 78.3度) ,80.0~84.9度を中顎 (中国人 83.0度) ,85.0~92.9度を正顎 (日本人 85.1度,南ドイツ人 88.0度) ,93.0度以上を過正顎と分類される。オランダの P.カンペルが最初に提唱したのは,外耳孔と鼻の底部を結ぶが,切線と額の頂点を結ぶ線となす角であったが,現在ではこの角は使われなくなっている。

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世界大百科事典 第2版の解説

ヒトの頭顔部を側面からみて,顔面輪郭傾きを示す角度である。輪郭が耳眼平面(左右の外耳孔上縁点Porion,生体では耳軟骨の上縁Tragionと左側の眼窩入口の最低点Orbitaleによって決定される面)と交差してなす角を求める。この時に前頭骨と鼻骨の境界点Nasionと上側歯槽の最前点Prosthionとを結ぶ直線が耳眼平面となす角を全側面角という。その大きさによって,突顎(79.9゜未満),中顎(80.0゜~84.9゜),正顎(85.0゜以上)に分類する。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

顎部(がくぶ)の突出程度を横顔からみて表した角度。各進化段階にある人類の横顔をみると、顎部が前突している突顎から、口元がほとんど突出していない直顎まで、さまざまなものがある。そこで、18世紀後半にオランダの解剖学者カンペールPieter Camper(1722―89)が、人種の差異を示す標識の一つとして考案した。それは、横顔からみて、眉間(みけん)から鼻の下で鼻中隔の付け根を結ぶ直線と、同じく鼻中隔の付け根と耳の穴とを結ぶ直線との間の角度である。彼は、世界各地の諸人種が群れ集うオランダのアムステルダム港で、多くの人々についてこの角度を計測し、また、古代の絵画に描かれている人物の横顔についても計測した。その結果、黒人の顔面角は白人のそれより小さく、猿類に似ていると主張した。この観察は一般には理解しやすいため、多くの人種論に引用された。しかし、この考え方は、各人種と各種霊長類を単純に一直線上に並べたにすぎず、その数字の意味するところを考えず、また誇張して人種差別に結び付けるきらいがある。そのため今日の人類学者は、ただ頭骨の形態を記述する項目としてのみ用いる。顔面角を測る方法としては、上述の他に全側面角、鼻側面角、歯槽側面角などが考案されている。

[香原志勢]

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精選版 日本国語大辞典の解説

〘名〙 顎(あご)の前方突出角度。全側面角(ぜんそくめんかく)の旧称。

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世界大百科事典内の顔面角の言及

【面角】より

…平面上の直線lによって二分される平面の部分のおのおのをl上の点も含めて半平面といい,lをその境界という。空間内に直線lを境界とする二つの半平面があるとき,空間はこれらの半平面により二分されるが,これらの部分のおのおのを半平面上の点も含めて二面角といい,lをその辺,二つの半平面をその面という。二面角をその辺に垂直な平面で切るとき,切口としてあらわれる角の大きさは,平面のとり方によらず一定である。この角の大きさを二面角の大きさという(図1)。…

【人体測定法】より

…人体測定法は生体計測,頭蓋および骨格計測に分けられる。 生体計測は原則として直立位で,頭部は耳眼平面(顔面角)に水平に位置づけて行う。身長は床面より頭部正中面の最高点(ベルテックスVertex)までの垂直距離である。…

※「顔面角」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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