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京都市西本願寺境内の一画にある滴翠園(てきすいえん)に建つ江戸初期の代表的建築。国宝。滄浪(そうろう)池に臨む三重の建物で、豊臣(とよとみ)秀吉が造営した聚楽第(じゅらくだい)にあったものを寛永(かんえい)年間(1624~44)に現在地に移建したと伝えるが、確証はない。一階は柳の間(招賢殿)、八景の間、船入(ふないり)の間、茶室からなる。柳の間は西本願寺書院対面所を小規模にした形式で、上上(じょうじょう)段まで設け、斬新(ざんしん)でしゃれた意匠が試みられている。茶室は憶昔席(いくじゃくのせき)の名があり、1795年(寛政7)ころに付属された。二階は歌仙の間といい、周囲に回縁がつく。三階は摘星楼(てきせいろう)とよばれ、軍配形の異形の花頭(かとう)窓を開く。各重の屋根の形は唐破風(からはふ)や入母屋(いりもや)破風など変化に富み、また、建物の木割は繊細で、庭園建築として軽快なたたずまいをみせる。付属建物には黄鶴台(おうかくだい)浴室(重要文化財)がある。
[工藤圭章]
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出典 旺文社日本史事典 三訂版旺文社日本史事典 三訂版について 情報
…この浴室は現存する遺構や《慕帰(ぼき)絵詞》(14世紀半ば)に描かれた浴室の焚き口の状態から判断すると,湯を沸かして蒸気をたて,床を簀の子(すのこ)にした密室に導く蒸し風呂形式である。時期は下るが西本願寺飛雲閣(17世紀初期)の黄鶴台に蒸し風呂の典型がみられる。この浴室部分は簀の子床で,その正面には引違い戸が入って蒸気の量を調節できるようになっており,上部には唐破風(からはふ)の飾りがついている。…
※「飛雲閣」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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