飯村(読み)いいといむら

日本歴史地名大系 「飯村」の解説


いいといむら

[現在地名]飯舘村飯樋

小宮こみや村の西に位置し、東を矢岳やたけ(七〇六・八メートル)、南をたたかい(八六三・二メートル)、西を花塚はなづか(九一八・五メートル)大火おおひ(八二五・六メートル)に囲まれる。村内をほぼ西から東へ飯樋川が流れる。北東の関沢せきさわ村からの奥州西街道が村内を通り、南西の比曾ひそ村を経て比曾峠へ向かう。飯土江・飯土居・伊井土江などとも記される。「和名抄」にみえる宇多うだ飯豊いいとよ郷を当地に比定する説もあるが不詳。

正和四年(一三一五)八月七日の尼妙悟譲状(相馬岡田文書)に「ミつのくになめかたのこをりをかたのむら、をなしきいゝとへかりくら一(カ)」とみえ、相馬岡田氏の祖胤顕の遺領である当地の狩倉などが、尼妙悟(胤顕の後家)の一期知行ののち子息胤盛に譲られている。元応二年(一三二〇)三月八日の尼専照譲状(同文書)では、胤盛の遺領として「いゝとゑかりくら」などが子息胤康に譲られ、元亨元年(一三二一)一二月一五日に鎌倉幕府が同譲状に所領安堵の裏書を加えている。元徳三年(一三三一)九月二六日、当地の狩倉などは胤康から子胤家(幼名乙鶴丸)に譲られたが(「相馬胤康譲状」同文書)、建武四年(一三三七)頃には胤家が岡田おかだ(現小高町)などとともに「飯土江狩倉一所」の所領安堵を申請した(年月日未詳「相馬乙鶴丸代祐賢申状案」同文書)

飯村
いむら

[現在地名]近江町飯

北は宇賀野うかの村、西は世継よつぎ村、東は箕浦みのうら村・岩脇いおぎ村、南は天野川を挟んで上多良かみたら(現米原町)。村内を北国街道が南北に通り、この付近に天野あまの川の渡場があった(元禄二年「川越賃定」成宮文書)。集落の西方に白鳳期の寺院跡と推定される正恩寺しようおんじ遺跡があり、息長氏の氏寺と推定されている。貞治四年(一三六五)二月二八日の妙観畠地売券(井戸村文書)に井村妙観が箕浦庄内で西限石丸の地を今井雲西房に売却したとある。


いつくいむら

[現在地名]昭和町飯喰

北は築地新居ついじあらい村、南は河西かさい村、西は山神やまのかみ(現田富町)、東は河東中島かとうなかじま村。村内を空穂うつぼ川が南流し、村の西に信玄堤があり、堤の外を常永じようえい川が南流する。慶長六年(一六〇一)検地帳(県立図書館蔵)によれば田一三町九反余・畑五町四反・屋敷五反五畝余。慶長古高帳では高三五九石余、幕府領。貞享二年(一六八五)の検地帳(昭和村誌)では田一八町四反余・畑一一町二反余・屋敷一町六反余、ほかに朱印地として熊野権現一石余・同神主屋敷七八坪、源光げんこう寺・西法さいほう(西方)寺・浄安じようあん寺の除地がある。元禄一六年(一七〇三)には高五二〇石余(文化三年「書上」内藤幹彦家文書)

飯村
いいむら

[現在地名]男鹿市脇本脇本わきもとわきもと いいまち

男鹿半島の南頸部、日本海岸に沿って発達した二、三列目の低い砂丘上にある。東南は船越ふなこし村、西南は脇本村、北は八郎潟西岸の低湿地へ続く。

「三代実録」元慶二年(八七八)七月一〇日条に、元慶の乱に際し、秋田城下で蜂起した蝦夷の「賊地」一二ヵ村の一として「腋本」がみえ、飯村をも含む地域と考えられる。砂丘上にある飯ノ町古墳からは、土師器須恵器とともに一振りの蕨手刀が出土している。

享保一四年(一七二九)の黒印高帳(秋田県庁蔵)には、本田並当高三五九石九斗五合、新田当高六五石七斗三升二合とあり免は低い。

飯村
いいむら

[現在地名]茂木町飯

小山おやま村の南に位置し、中央をさか川が北流。常陸笠間かさま(現茨城県笠間市)と茂木を結ぶ往還が逆川に沿って走る。宇都宮氏旧臣姓名書に当村の飯村伝兵衛・同藤蔵・同五左衛門の名がみえる。慶安郷帳によれば常陸麻生藩領、田六五〇石余・畑二五一石余、ほかに大学寺領一〇石・慶翁けいおう寺領五石。元禄郷帳では旗本松平領。幕末も同じ(旧高旧領取調帳)。文政七年(一八二四)には年貢上納に差詰まり、茂木おお町の酒造家栄屋泉司に村内の酒・醤油の独占的販売を認めて冥加金を取り、それを年貢未納分の上納に充てている(「運上手形古証文」島崎泉治文書)

飯村
いむれ

[現在地名]豊橋市飯村町

東海道に沿い二川ふたがわ宿へ二七町、吉田よしだ宿へ二九町の所にある。江戸時代には懸茶屋が置かれ、茶屋ちやや町ともよばれた。そのため吉田藩では米二俵を給して庇護していた。近世を通じて吉田藩領。慶長六年(一六〇一)の三河国吉田領人馬役割帳(島原市本光寺蔵)に記入された同九年の検地高は三五一石余。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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