男鹿市(読み)オガシ

デジタル大辞泉 「男鹿市」の意味・読み・例文・類語

おが‐し〔をが‐〕【男鹿市】

男鹿

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

日本歴史地名大系 「男鹿市」の解説

男鹿市
おがし

面積:一九六・六三平方キロ(境界未定)

男鹿半島のほぼ全域を占める。三方海に囲まれ、東には八郎潟がある。地質・地形的に特色があり第四紀に入って、寒風かんぷう山と目潟めがたの火山活動があり、十数段の海岸段丘が形成されるとともに、南の雄物川・北の米代川の砂州・砂丘の活動により男鹿島は陸繋されて八郎潟が誕生した。東に寒風山、西にしん山・ほん山の男鹿三山がそびえ、西部山地は日本海に向かって断崖をなし、火山噴出物による岩層が露出する。海岸は細かく屈曲し、海浜には岩礁が多い。西部山地の北部には、いち目潟めがた・二ノ目潟・三ノ目潟がある。中央丘陵には寒風山が噴出し、東に潟西かたにし台地、さらに八郎潟低地、八郎潟が続く。本土と結ぶ北部回廊では台地上に砂丘が発達し、南部では脇本わきもとからいいノ町を経て小深見こぶかみ(南秋田郡若美町)に至る砂丘を中心に、南にも砂丘・砂州があり、船越ふなこし水道を隔てて本土側の砂州・砂丘に連なる。南秋田郡とは潟西台地の中央および八郎潟低地の中央、船越水道で境する。

「吾妻鏡」文治六年(一一九〇)正月六日条に「小鹿嶋大社」とある。「日本書紀」斉明天皇四年四月に「齶田蝦夷恩荷、進而誓曰、不官軍故持弓矢」とあり、恩荷を男鹿とする説がある。男鹿は古代―近世を通じて秋田郡に属する。

〔原始〕

遺跡は寒風山東部台地と八郎潟低地の接点に大部分が分布し、海岸段丘上にも点在する。縄文前期に属する遺跡は、寒風山東部台地の浦田うらだ、北部海岸段丘上の野村のむら、南西部海岸の椿つばきがある。中期・後期・晩期における遺物も先の地域の周辺に多く、半島内陸部にはきわめて少ない。角間崎かくまざきの西約五〇〇メートルの志藤沢しとざわ(南秋田郡若美町)の台地上からは籾痕のある続縄文式土器が三例発見された。これにより南からの稲作を伴った弥生文化の影響を肯定しうる。志藤沢の南、百川ももかわ大倉おおくら・脇本・船越からは弥生式土器片が発見されるが、生活はおもに採集によっていたものと思われる。「日本書紀」斉明天皇四年に、蝦夷を代表して阿倍比羅夫に降伏した「齶田蝦夷恩荷」が弓矢を持っているのは肉食のためであり、戦をするためではないと述べたと伝えるのも、このような遺跡の分布を裏付けるものと思われる。

〔古代〕

「三代実録」元慶二年(八七八)七月一〇日条に「出羽国飛駅奏曰(中略)秋田城下賊地者、上津野、火内、榲淵、野代、河北、腋本、方口、大河、堤、姉刀、方上、焼岡十二村也」とあり、秋田城下一二ヵ村の蝦夷が蜂起している。


男鹿市
おがし

2005年3月22日:男鹿市と南秋田郡若美町が合併
【若美町】秋田県:南秋田郡
【男鹿市】秋田県

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「男鹿市」の意味・わかりやすい解説

男鹿〔市〕
おが

秋田県西部,日本海に突出する男鹿半島の大部分を占める市。 1954年船川港町と脇本村,五里合 (いりあい) 村,男鹿中村,戸賀村の4村が合体して市制。 1955年北浦町船越町の2町を編入。 2005年若美町と合体。地名は蝦夷名の恩荷 (おんが) に由来と伝えられる。安東氏の統治下に脇本城が築かれ,県内では最も早くから開けたところといわれる。南岸の船川港は県下有数の漁港で,江戸時代には避難港として利用された。船川に石油精製工場があり,石油備蓄も行なわれている。さらに木材コンビナートが形成されている。半島基部の申川,福米沢では石油,天然ガスを生産。また旧八郎潟西側では米作が盛んであるほか,丘陵地ではタバコ,果樹などが栽培される。豊富な観光資源に恵まれ,寒風山パノラマラインなどの観光道路も完成,寒風山 (355m) ,八望台,入道崎,男鹿温泉戸賀湾などの景勝地が多く,男鹿国定公園に指定されている。ツバキ自生北限地帯は国の天然記念物。日本に数少ないマールの一ノ目潟,二ノ目潟,三ノ目潟がある。なまはげ行事,東湖八坂神社のトウニン (統人) 行事は国の重要無形民俗文化財。秋田市に通じる JR男鹿線の起点。面積 241.09km2。人口 2万5154(2020)。

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