香煎(読み)こうせん

日本大百科全書(ニッポニカ)「香煎」の解説

香煎
こうせん

米または類を炒(い)ってから粉末にしたものの総称。「こがし」ともいう。オオムギ原料とした麦こがし、俗に「はったい」とよばれるものが、比較的よく知られている。以前は塩を混ぜてそのまま食べたり、で練って食していたようである。現在は砂糖を混ぜて型押ししてつくる麦落雁(らくがん)などの菓子の原料とか、砂糖を加え湯で練って食べるといった用い方をする。また、シソサンショウ陳皮(ちんぴ)(ミカンの皮)などの粉末や、糯米(もちごめ)でつくる小さいあられのことも香という。単独または混合して湯を注ぎ、お茶がわりに用する。大唐米(だいとうまい)(イネの一品種で赤ばんだ米)を主材料に、陳皮、サンショウ、ハトムギ、ウイキョウなどをあわせた香煎は、江戸時代以前からあり、湯を注いで飲用していたという。

[河野友美・大滝 緑]


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精選版 日本国語大辞典「香煎」の解説

こう‐せん カウ‥【香煎】

〘名〙
① 麦や米をいって挽いて粉にしたこがしに、紫蘇(しそ)蜜柑(みかん)の皮などの粉末を加えた香味を賞する香煎湯の原料をいう。こがし。
狂歌卜養狂歌集(1681頃)冬「或る人のより、かうせんのおこしけるに、中にを入れておこし」
② =むぎこがし(麦焦)〔物類称呼(1775)〕
③ 茶事で、「こうせんゆ」をいう。寄付待合(よりつきまちあい)に人がそろった時、詰(つめ)(=末客)にあたる人、または亭主側から、のどをうるおすために出す。

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和・洋・中・エスニック 世界の料理がわかる辞典「香煎」の解説

こうせん【香煎】

焦がし。特に麦焦がし。[類語]はったい⇒焦がし麦焦がし
②「①」に陳皮(ちんぴ)やういきょうなどの香料を加えたもの。湯を注いで飲む。
しそ・陳皮・さんしょうなど香りのある素材を粉にしたものや、道明寺粉をいって作るごく小さいあられ。単独で、または数種取り合わせて、湯を注いで飲む。茶事の待合などで用いられる。

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デジタル大辞泉「香煎」の解説

こう‐せん〔カウ‐〕【香煎】

麦焦がし別名
がしに紫蘇しそ山椒さんしょうの実、陳皮ちんぴなどの粉末を加えたもの。湯を注いで飲む。
茶会待合祝儀の席でお茶代わりにする、紫蘇や山椒の実、陳皮の粉末、もち米で作る小さいあられなどのこと。単独または混ぜて、湯を注いで出す。

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百科事典マイペディア「香煎」の解説

香煎【こうせん】

大麦,米などを炒(い)って粉にしたもの(大麦のものを麦焦し(むぎこがし)とも)。橘皮(きっぴ),シソ等を加え湯に浮かせて香味を賞するなど古くから愛用された。また塩味,砂糖などを加え粉のまま,また湯で練ったりして食する。

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世界大百科事典 第2版「香煎」の解説

こうせん【香煎】

麦こがしなど,麦や米をいって粉末とした〈こがし〉(〈はったい〉〈はったい粉〉とも)を指すこともあるが,一般にはそうしたこがしにサンショウ,シソ,陳皮(ちんぴ)(ミカンの皮)などの粉末と少量の塩を加えたものをいい,湯を注いで茶のように飲用する。江戸時代以前から大唐(たいとう)米と呼ばれた赤米(あかごめ)を主材料としてさかんに用いられたもので,《犬筑波集》には〈日本のもののくちのひろさよ たいとうをこかしにしてや飲ぬ〉のが見られる。

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世界大百科事典内の香煎の言及

【オオムギ(大麦)】より

…麦芽は水あめとして菓子用にもされる。そのほか,みそ,しょうゆの原料にもされ,またいって粉にして麦焦し(ハッタイ粉,香煎)にする。オオムギは飼料としても重要で,世界とくに欧米の需要のほとんどは飼料用である。…

【桜湯】より

…見合いや婚礼の席で茶のかわりに用いられるのは,〈お茶を濁す〉などと使われる茶を避けるためだという。《嬉遊笑覧》(1830序)に〈近ごろはじまった〉とする記載があり,明治初期の東京では繁華な下町の大通りの夏の夜店の中には,床几(しようぎ)に赤いケットをかけて並べた桜湯の店も見られ,麦湯,甘酒,香煎(こうせん)などもあきなっていたという。香煎に湯を注いで飲ませた〈煎物(せんじもの)売〉は職人歌合や狂言に見えるが,そうした〈煎物売〉の商品の一つとして,すでに中国で行われていたランの花の塩漬などにヒントを得て考案されたものと思われる。…

※「香煎」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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