(読み)カツオ

デジタル大辞泉 「鰹」の意味・読み・例文・類語

かつお〔かつを〕【×鰹/魚/松魚】

サバ科の海水魚全長約1メートル。体は紡錘形。背部は暗青紫色、腹部銀白色で、死後青黒色縦縞が現れる。世界の温・熱帯海に分布し、季節的に回遊。日本にはふつう3~4月に南岸に近づき、5~6月に黒潮に乗って北上、7~8月に三陸沖に達し、秋には南下。さお釣り漁法で漁獲し、たたきとして賞味するほか、煮物かつお節缶詰などに利用。 夏》出刃の背を叩くこぶしや―切る/たかし

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精選版 日本国語大辞典 「鰹」の意味・読み・例文・類語

かつおかつを【鰹・堅魚・松魚】

  1. 〘 名詞 〙
  2. サバ科の海魚。体は紡錘形で肥満し、ふつう全長五〇~八〇センチメートル。背は暗青色、腹は銀白色で、死後数本の黒色縦帯が現われる。温帯および熱帯の外洋に広く分布し、南北方向の季節回遊をする。二月頃沖縄周辺海域に出現し、小魚などの餌を追い、黒潮にのって北上する。夏から秋には、東北・北海道沖に達する。食用魚で、刺身、照焼きなどのほか、鰹節、なまり節の材料となり、内臓は塩辛にする。特に近世の江戸では、初夏のころのものを初鰹(はつがつお)として珍重した。まんだら。まがつお。かつうお。かたな。《 季語・夏 》
    1. [初出の実例]「煮堅魚参伯弐拾斤、納肆拾籠」(出典:正倉院文書‐天平一〇年(738)駿河国正税帳)
    2. 「鎌倉の海に、かつをと云ふ魚は、かの境にはさうなきものにて、この比もてなすものなり」(出典:徒然草(1331頃)一一九)
  3. (なま)の鰹を蒸したり乾燥させたりして加工した食品。鰹節(かつおぶし・かつぶし)。なまり節。
    1. [初出の実例]「堅魚薄鰒各一連、雑腊一升」(出典:貞観儀式(872)三)
    2. 「かつをと云魚は古はなまにては食せず。ほしたる計用ひし也。ほしたるをもかつをぶしといはず、かつをと計いひしなり」(出典:随筆・貞丈雑記(1784頃)六)
  4. かつおぎ(鰹木)」の略。
    1. [初出の実例]「堅魚を上げて舎屋を作れる家有りき」(出典:古事記(712)下)
  5. かつおむし(鰹虫)」の略。〔新撰字鏡(898‐901頃)〕

鰹の語誌

( 1 )干すと堅くなるので「かたうお」と呼ばれていたのが、「かつお」に変化したという。「鰹」の字も、もと「堅魚」と書いていたものを、木工→杢、麻呂→麿のように一字化したもので、平安初期に例が見られる。
( 2 )古代からの重要な水産の食料であるが、鎌倉時代末ごろまでは高級な魚とはされていなかったらしい。「徒然草‐一一九」によると、今はもてはやしているが、昔は身分の高い人には出さなかったという。しかし「勝つ魚」の連想からとりわけ武家縁起物として好まれ、江戸時代以降は、元祿期の俳人山口素堂の「目には青葉山ほととぎす初がつほ」〔俳・曠野‐一〕の句で広く知られているように、初物好きの江戸っ子にもてはやされただけでなく、初夏の風物詩として珍重されている。

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普及版 字通 「鰹」の読み・字形・画数・意味


22画

[字音] ケン
[字訓] うなぎ・かつお

[字形] 形声
声符は堅(けん)。〔爾雅、釈魚〕に「大(だいとう)なり」とあって、うなぎの類。わが国ではかつおの意に用いる。

[訓義]
1. うなぎ、おおうなぎ。
2. 国語、かつお。

[古辞書の訓]
〔新字鏡〕鰹 伊加(いか) 〔和名抄〕鰹魚 語抄に云ふ、加豆乎(かつを)、式に堅魚の二字を用ふ 〔名義抄〕鰹 カツヲ 〔字鏡〕鰹 カツヲ、伊加(いか)、魚の名なり 〔字鏡集〕鰹 カツヲ・ハラカ・オホカツヲ

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

動植物名よみかた辞典 普及版 「鰹」の解説

鰹 (カツオ)

学名:Katsuwonus pelamis
動物。サバ科の海水魚

出典 日外アソシエーツ「動植物名よみかた辞典 普及版」動植物名よみかた辞典 普及版について 情報

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