石基(読み)せっき(英語表記)groundmass

翻訳|groundmass

精選版 日本国語大辞典 「石基」の意味・読み・例文・類語

せっ‐き セキ‥【石基】

〘名〙
① 石の土台。いしずえ。
島根のすさみ‐天保一一年(1840)八月二七日「孔廟は泉本主水正格別の世話にて出来候処類焼せしよしにて石基等尚存しぬ」
② 斑(はん)状の火成岩で、大粒な斑晶の間を埋めるガラス質または微細な結晶からなる部分。グランドマス。〔英和和英地学字彙(1914)〕

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「石基」の意味・読み・例文・類語

せっ‐き〔セキ‐〕【石基】

石の土台。いしずえ。
火成岩にみられる、斑晶を取り囲んでいる細粒結晶ガラス質の部分。マグマ地表や地表近くで急激に冷えた際にできる。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「石基」の意味・わかりやすい解説

石基 (せっき)
groundmass

火山岩を手にとって観察したとき,斑晶以外の肉眼では判別できない細粒の結晶やガラス質の部分を指す用語地下から上昇したマグマが地表に噴出したり,地表付近で貫入岩体をつくるとき,斑晶以外の液相が急冷してできる部分が石基である。石基は完全に結晶化したものから完全にガラス質のものまでさまざまである。同じ火成岩体でも表面に近いほど冷却速度が速いため,よりガラス質の石基となる。またマグマの化学組成がシリカ成分に富むほど,粘性が高くマグマ中でイオンが移動しにくいため,結晶の成長が遅く,よりガラス質の石基となる。デイサイト流紋岩がガラス質の石基をもちやすく,玄武岩の石基は結晶質であることが多いのはこのためである。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「石基」の意味・わかりやすい解説

石基
せっき
groundmass

火成岩で鉱物の大きな結晶とその周りの小さな結晶またはガラス質の部分がはっきり区別できる場合、大きな結晶以外の部分を石基という。石基はマグマが地表に噴出するかまたは地表近くに貫入して短時間うちに冷えて固まったものである。マグマが地下でゆっくり冷えて固まってできた火成岩には石基がない。

[千葉とき子]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

化学辞典 第2版 「石基」の解説

石基
セッキ
groundmass

一般に,火山岩ははん点状に存在するやや大型の結晶(約0.5 mm 以上)とその結晶をとりまく基地の部分とからなっている.この基地の部分を石基という.石基は通常,肉眼では識別しえない微細な結晶の集合体,もしくはガラスからなり,これはマグマが地表に噴出したときの急冷による生成物とされている.それゆえ,石基だけの成分はある条件下での真の液体の成分とみなされる.[別用語参照]はん晶

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「石基」の意味・わかりやすい解説

石基
せっき
groundmass

火成岩の斑晶を取囲んでその間隙を充填している微細な結晶の集合体もしくはガラス質の部分をいう。斑状組織を示す火山岩や地下浅所の貫入岩体にみられる。マグマが地表に噴出したとき,または地表近くで固結したときの急冷による生成物である。石基の化学組成は,マグマの生成を知る手がかりとなる。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

岩石学辞典 「石基」の解説

石基

(1) 火成岩の大きな結晶粒を取り囲みその間に存在する物質で,熔融体が急冷しながら結晶化した際の最終生成物を代表するものである.石基はガラス質か微晶質である[Leonhard : 1823, Vogelsang : 1875].石基の鉱物にも大小があり,かなり大きな粒度の鉱物からなる石基が存在する場合がある.(2) 堆積岩の場合はマトリックスをいう.

出典 朝倉書店岩石学辞典について 情報

百科事典マイペディア 「石基」の意味・わかりやすい解説

石基【せっき】

斑(はん)状組織

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

今日のキーワード

潮力発電

潮の干満の差の大きい所で、満潮時に蓄えた海水を干潮時に放流し、水力発電と同じ原理でタービンを回す発電方式。潮汐ちょうせき発電。...

潮力発電の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android