出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
平曲の曲名。平物(ひらもの)。前半はフシ物,後半は拾イ物の曲節。前田流平曲の基本的譜本である《平家正節(へいけまぶし)》の巻頭にすえられた曲。めでたい内容の短い曲で,しかも平曲を二分するフシ物・拾イ物の両要素を併せ備えているので,初入門曲として適当と考えられていたのであろうか。下記のように語られる。
平氏で初めて殿上(てんじよう)を許された忠盛は,和歌の道にも優れ,鳥羽上皇の質問にとっさに和歌で答えたものが《金葉集》に採られたし,また院に仕えていた忠盛と相愛の女も,機知に富んだ和歌を詠んだ(〈上歌(あげうた)・サシ声・初重(しよじゆう)等〉)。忠盛の死後は清盛が跡を相続し,保元・平治の乱で戦功を立てた。そのために正三位に叙され,続いて参議,納言,大臣と短期間に昇進し,ついに太政大臣にまでなった(〈拾イ〉)。太政大臣は天皇の師範,四海の儀表とされ,適任者がないときは欠いてもよいと定められた重い官職だが,清盛が天下を握っていたので異論は起こらなかった(〈三重〉)。この平家の繁栄は熊野権現の加護によるものだという。清盛がまだ安芸守だったころ,伊勢から船で熊野へ参詣したが,そのとき大きな鱸が飛び込んだ。清盛は,周の武王の船に白魚(はくぎよ)が躍り入ったという伝説と同じ吉兆だと言って,本来は精進して過ごす参詣の途中であるにもかかわらず,その鱸を調理して自分も食し,人々にも食べさせた。このことのためか,平家一門はめでたい繁栄を遂げたのである。
執筆者:横道 万里雄
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