鷺娘(読み)さぎむすめ

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

鷺娘
さぎむすめ

歌舞伎舞踊曲。長唄宝暦 12 (1762) 年4月,江戸市村座初演。六替りの所作事柳雛諸鳥囀 (やなぎにひなしょちょうのさえずり) 』内の一曲。2世瀬川菊之丞初演。作詞者未詳。作曲富士田吉次,杵屋忠次郎白鷺の風情をかりて恋に悩む女性の姿を描いた曲。前半は幽艶,後半ははなやかな娘気分の踊り,最後が地獄の責めと変化に富む。「縁を結ぶの」が聞かせどころ。明治になって3世杵屋正治郎が新しく合方を加えている。9世市川団十郎の復活上演 (1892) 以来,派手な引抜き演出の採用もあって流行曲となった。

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デジタル大辞泉の解説

さぎむすめ【鷺娘】

歌舞伎舞踊長唄壕越二三治(ほりこしにそうじ)作詞、杵屋忠次郎作曲。四変化舞踊「柳雛諸鳥囀(やなぎにひなしょちょうのさえずり)」の一。宝暦12年(1762)江戸市村座で初演。白鷺に仮託して、恋に悩む若い女性を描く。

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百科事典マイペディアの解説

鷺娘【さぎむすめ】

長唄の曲名。同名の曲がいくつかあるが五変化(へんげ)舞踊〈柳雛諸鳥囀(やなぎにひなしょちょうのさえずり)〉の第1曲のものが最も有名。壕越二三治作詞,初世富士田吉治・杵屋忠次郎作曲,2世西川扇蔵振付,1762年初演。白鷺の精が町娘に化けて池のほとりに現れたあと,はなやかな踊りを踊って最後に地獄の責めにあうというもの。
→関連項目所作事

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世界大百科事典 第2版の解説

さぎむすめ【鷺娘】

歌舞伎舞踊。長唄。1762年(宝暦12)4月江戸の市村座初演。五変化所作事《柳雛諸鳥囀(やなぎにひなしよちようのさえずり)》の一曲。演者は初世瀬川菊之丞。作詞者不詳。作曲杵屋(きねや)忠次郎ほか。振付2世西川扇蔵。白鷺が白無垢姿の娘と化して水辺に現れ,やがて赤地友禅衿付の町娘に引抜き,クドキ手踊傘踊を華やかに踊り,最後は羽または火焰の衣装にぶっ返り,地獄の呵責(せめ)に苦しむ振りで終わる。三下りの曲で通した凄艶な色気漂う名作。

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大辞林 第三版の解説

さぎむすめ【鷺娘】

歌舞伎舞踊の一。長唄。変化物、本名題「柳雛諸鳥囀やなぎにひなしよちようのさえずり」の一。壕越二三治ほりこしにそうじ作詞。1762年江戸市村座で初演。白鷺の精が恋に悩む娘の振りを見せ、最後に地獄に落ちて苦しむさまを演じる。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

鷺娘
さぎむすめ

歌舞伎(かぶき)舞踊。長唄(ながうた)。作詞者不詳。杵屋(きねや)忠次郎作曲、2世西川扇蔵振付け。1762年(宝暦12)4月、江戸・市村座で2世瀬川菊之丞(きくのじょう)が初演。五変化舞踊『柳雛諸鳥囀(やなぎにひなしょちょうのさえずり)』の一節。雪のなかにたたずむ白鷺の精に託して娘心の妄執を描いたもので、白無垢(しろむく)・綿帽子の嫁入り衣装から引き抜いて友禅衣装の町娘になり、クドキ、手踊、傘踊などを経て、最後は羽または火焔(かえん)の衣装にぶっ返り、地獄の呵責(かしゃく)に苦しむ姿をみせる。全曲を三下がりのしっとりした調子で通しながら、幽艶(ゆうえん)・華麗・凄愴(せいそう)と変化に富んだ名作で、女方(おんながた)舞踊の代表作になっている。[松井俊諭]

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精選版 日本国語大辞典の解説

さぎむすめ【鷺娘】

歌舞伎所作事。長唄。杵屋忠次・富士田吉次作曲。宝暦一二年(一七六二)江戸市村座初演。五変化舞踊「柳雛諸鳥囀(やなぎにひなしょちょうのさえずり)」の一つ。娘に化けた白鷺が身をはかなむ振りから、地獄に落ちて鬼の責め苦にあう振りで終わる。

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歌舞伎・浄瑠璃外題よみかた辞典の解説

鷺娘
〔長唄〕
さぎむすめ

歌舞伎・浄瑠璃の外題。
演者
杵屋六左衛門(10代)
初演
天保10.3(江戸・中村座)

鷺娘
(別題)
さぎむすめ

歌舞伎・浄瑠璃の外題。
元の外題
さぎむすめ
初演
宝暦12.3(江戸・市村座)

鷺娘
(通称)
さぎむすめ

歌舞伎・浄瑠璃の外題。
元の外題
柳雛諸鳥囀
初演
享保17.1(江戸・中村座)

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世界大百科事典内の鷺娘の言及

【長唄】より

… 初期の江戸歌舞伎では陽気で軽快な二上り調子の曲(例《七つになる子(七つ子)》《馬場先踊》《槍踊》)が作曲されていたが,享保・宝暦期(1716‐64)に上方から歌舞伎俳優に伴われて東下した長唄演奏家によって上方の優雅な三下り調子が盛んにとり入れられた。また当時,歌舞伎舞踊は女形の専門芸とされていた関係で,長唄も女性的な曲(例《鷺娘(さぎむすめ)》《娘道成寺(むすめどうじようじ)》《執着獅子(しゆうぢやくじし)》)が作曲された。この時期の長唄唄方には坂田兵四郎,初世松島庄五郎,初世吉住小三郎,三味線方には7代目杵屋喜三郎,初世杵屋新右衛門,初世杵屋弥三郎,初世杵屋忠次郎,囃子方には宇野長七などがいる。…

【富士田吉次(富士田吉治)】より

…天性の美声で好評を博し,彼の長唄を聞くために観客が集まり,〈見物を呼ぶ唄うたひ古今稀れのものなり〉といわれた。三味線方の初世杵屋(きねや)忠次郎,2世杵屋六三郎,初世杵屋作十郎,初世藤間勘左衛門らと組んで《鷺娘》《娘七種(むすめななくさ)》《吉原雀》《安宅松(あたかのまつ)》などの名曲を残す。なお,実子の藤次郎は襲名せず,富士田千蔵を名のり初世となった。…

※「鷺娘」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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