鹿の子(読み)カノコ

デジタル大辞泉 「鹿の子」の意味・読み・例文・類語

か‐の‐こ【鹿の子】

シカの子。転じて、シカ。かこ 夏》「廻廊を―が駆くる伽藍かな/誓子
鹿の子絞り」の略。
鹿の子まだら」の略。
鹿の子もち」の略。

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改訂新版 世界大百科事典 「鹿の子」の意味・わかりやすい解説

鹿の子 (かのこ)

鹿の子絞の略。鹿の背にあるまだらに似たことから出た名称であろう。布地を指先または鉤針(かぎばり)を用いてつまみ,その先を糸でくくって絞る。これを染めると小さいやや不整形の輪が白く抜ける。絞染の中で最も古くから行われたもので,正倉院纐纈(こうけち)の中にもこれに類するものが見られる。この絞りが,斜めに45度の線につめて絞られると,上りが角ばった形となっていわゆる一目絞の詰(つめ)となり,これがさらに疋田絞(ひつたしぼり)へと進展する。
絞染
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百科事典マイペディア 「鹿の子」の意味・わかりやすい解説

鹿の子【かのこ】

シカの斑紋をかたどった模様,また和服の染模様に応用した。特に絹地に絞染にした鹿の子絞りの略。京都が主産地なので京鹿の子ともいう。布地を指先や鉤(かぎ)針を用いて少量つまみ,糸でくくって小さな丸を連続して染め出すもので,ごく細かい京極,やや角ばった人目(ひとめ),さらに方形疋田(ひった)(匹田とも)などがある。おもに兵児(へこ)帯,女物長着・羽織・帯揚に使用。
→関連項目絞染

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「鹿の子」の意味・わかりやすい解説

鹿の子
かのこ

鹿の子餅(もち)のこと。餅を小豆餡(あずきあん)でくるみ、その表面蜜煮(みつだ)きした小豆粒をつけたもの。鹿の子絞(しぼ)りの斑点(はんてん)のような姿からこの名がついた。餅を紅餡でくるみ、白インゲンの蜜煮きをつけたものを京鹿の子という。宝暦(ほうれき)年間(1751~64)に江戸の役者嵐(あらし)音八が人形町で売り出して人気をよんだ。音八の店は寛政(かんせい)(1789~1801)のころまで続いたが、のち囃子頭(はやしがしら)の太田市左衛門(いちざえもん)に引き継がれた。

[沢 史生

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「鹿の子」の意味・わかりやすい解説

鹿の子
かのこ

シカの子,およびそれから転じて形容詞的に用いられる言葉。シカの子は生後2年くらいの間,赤みがかったくり色の体に白い斑点が多くできる。これは保護色の作用をするものであるが,このようなまだらな現象を呈したものを一般に「鹿の子…」と呼ぶ。たとえば,鹿の子まだら,鹿の子絞り,鹿の子編 (表編と裏編を縦横とも交互にした模様編) ,鹿の子菓子 (こしあんを芯に小豆などを粒のままでまわりにつけたもの) などと広く用いられている。

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和・洋・中・エスニック 世界の料理がわかる辞典 「鹿の子」の解説

かのこ【鹿の子】

和菓子の一種。餅(もち)・求肥(ぎゅうひ)などをあんで包んで丸め、あんの周囲に甘く煮た粒状のあずきやいんげん豆・栗などをつけ、仕上げに錦玉液(寒天を煮溶かし砂糖や水あめを加えて煮詰めたもの)を塗ったもの。◇表面の豆の粒が鹿の背の斑紋に似るところから。「かのこ餅」ともいう。

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世界大百科事典(旧版)内の鹿の子の言及

【置戸[町]】より

…農業はかつての畑作中心の農業にかわって酪農と肉牛飼養などの畜産が伸びている。常呂川上流に鹿の子沢温泉(単純泉,44℃)があり,その付近に多目的の鹿ノ子ダムが1983年完成した。【岡本 次郎】。…

【サンゴ(珊瑚)】より

…おもに高知県の沖合で採取される濃赤色の血赤(ちあか)サンゴはオックス・ブラッド(牡牛の血),紅(べに)ともいわれ,珍重される。赤白の小斑点のあるものは〈鹿の子(かのこ)〉と呼ばれる。またボケの一種に〈ガーネット〉,赤白の縞目ないし斑のあるものに〈スカッチ〉などの新しい称呼も用いられている。…

【和菓子】より

…(5)生菓子(なまがし) 水分が多く変質しやすい生物(なまもの)の菓子の意で,干菓子に対する語。種類はさまざまで,前記の餅菓子以下の大半はこれに属するが,それ以外に練切(ねりきり)物,ぎゅうひ物,鹿の子(かのこ),時雨(しぐれ)などがある。鹿の子はぎゅうひまたはようかんをあんで包み,そのあんの上にみつ煮のアズキをつけたもので,アズキのかわりに栗を用いたのが栗鹿の子である。…

【染色】より

…その正確な技法の解明はまだなされていない。纐纈は今の絞染で,目交(めゆい)ともいわれ,鹿の子絞ふうのものがほとんどである。後世の絞に比べると,目も大きく,つめて絞ることはほとんどないが,縫締めなどを含め,技法はおよそ9種類ある。…

※「鹿の子」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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