黒内障(読み)コクナイショウ(その他表記)amaurosis

翻訳|amaurosis

関連語 外傷 小林 名詞

精選版 日本国語大辞典 「黒内障」の意味・読み・例文・類語

こく‐ないしょう‥ナイシャウ【黒内障】

  1. 〘 名詞 〙 眼に異常がないのに視力が著しく低下する状態の総称。ヒステリー性黒内障、一過性黒内障など。古くは視力がまったく消失した状態に対して一般的に用いた。黒そこひ。黒障眼。〔医語類聚(1872)〕

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改訂新版 世界大百科事典 「黒内障」の意味・わかりやすい解説

黒内障 (こくないしょう)
amaurosis

本来は眼底に異常な所見がないのに視力が著しく悪い状態を指し,中枢性の疾患が原因と考えられるものをいうが,習慣的には眼底疾患によるものをも含む。瞳孔が白く濁る白内障に対して,瞳孔が黒くて正常のようにみえることから発生した語。黒底翳(そこひ)ともいう。現在では病名としては単独で用いられることはなく,現存する病名は,黒内障性猫眼amaurotic cat's eyeと家族性黒内障性白痴amaurotic familial idiocyのみである。前者網膜芽細胞腫retinoblastomaのある時期に瞳孔の中が光ることを指し,後者は代謝異常疾患の一つであるリピドーシスlipidosisの眼症状を主として指す病名である。
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百科事典マイペディア 「黒内障」の意味・わかりやすい解説

黒内障【こくないしょう】

黒そこひとも。元来は白そこひ(白内障)が瞳孔(どうこう)白濁して視力を失うのに対し,瞳孔が黒色のまま強度の視力障害のある病気を意味した。しかし,このような病気は数多く,多くは特有な眼底の病変があり,それぞれ独立の眼疾患として命名された。今日では,黒内障は,眼底になんらの病変なく強度の視力障害を伴う病気の総称として用いられる。たとえば尿毒性黒内障,ヒステリー性黒内障など。なお,子癇(しかん)性黒内障,家族性黒内障性認知症(痴呆(ちほう))などのように,若干の眼底病変があっても,習慣的に黒内障と呼ばれているものもある。
→関連項目そこひ

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「黒内障」の意味・わかりやすい解説

黒内障
こくないしょう

眼底を含め眼内に異常がないのに視力が低下して見えなくなる状態の総称。かつては瞳孔(どうこう)(ひとみ)の中が白く濁ってくる白内障(白そこひ)や発作のときに瞳孔を通して眼内を見ると青く見える緑内障(青そこひ)に対し、瞳孔の中に濁りがなく、光が反射してこないために黒く見え、しかも視力が低下してくる状態を黒内障(黒そこひ)とよんでいた。つまり、古くは網膜や視神経の病気で所見のはっきりしないものを黒ぞこひとよんでいたが、現在では所見がはっきりわかり、それぞれ病名がつけられている。現在でも黒内障という病名が使われているものには、ヒステリー性黒内障をはじめ、一過性脳虚血発作のときに一時的に見えなくなる一過性黒内障、腎性(じんせい)高血圧のときに大脳の中枢障害によって失明症状がみられる腎炎性黒内障などがある。

[松井瑞夫]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「黒内障」の意味・わかりやすい解説

黒内障
こくないしょう
amaurosis

本来,視力がまったく消失した状態をさした用語であったが,現在は通常,眼底所見または他の他覚的所見がほとんどなくて失明している,特殊な場合に限って用いられている。先天性黒内障,尿毒性黒内障,ヒステリー性黒内障,家族性黒内障性痴呆などがあり,また球後視神経炎や外傷の際にもこの症状を呈することがある。

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