デジタル大辞泉
「黒猫」の意味・読み・例文・類語
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くろ‐ねこ【黒猫】
- [ 1 ] 〘 名詞 〙 全体の毛の色が真黒な猫。江戸時代には、これを飼えば労咳(肺結核)が治るという俗信があり、恋の病にも効験があるといわれた。からすねこ。
- [初出の実例]「赤松次郎法師献二白猫一。被二召置一也。雖レ献二黒猫一即被レ返矣」(出典:蔭凉軒日録‐長祿三年(1459)八月二二日)
- 「黒猫のわんもやっぱり片思ひ」(出典:雑俳・柳多留‐一二(1777))
- [ 2 ] ( 原題[英語] The Black Cat ) 短編小説。ポー作。一八四三年発表。過度の飲酒による病的心理から、愛する黒猫を惨殺した男が誤って妻をも殺し、壁に塗りこめて隠すが、黒猫ののろいによってすべてが発覚する物語。
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
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黒猫
くろねこ
The Black Cat
アメリカの作家E・A・ポーの怪奇で幻想的な短編小説。1843年発表。「私」は、これという理由もなく、愛猫プルートの片方の目をえぐり、首をくくって殺してしまう。その夜、怪火で「私」の家は全焼する。そして焼け跡の漆食(しっくい)の壁に、首に縄をつけた巨大な猫の姿が浮かび上がる。それから数か月後、「私」の家にはプルートとそっくりな黒猫が住み着く。しかも片方の目がない。「私」はしだいにこの猫に嫌悪の情を募らせ、斧(おの)で打ち殺そうとするが、妻が止めに入る。逆上した「私」は妻の脳天に一撃を加えて殺し、その死体を地下室の壁に塗り込める。警官隊が家宅捜索にくると、「私」は地下室に案内し、わざわざその壁をたたいてみせる。すると異様な悲鳴がする。怪しんだ警官が壁を壊してみると、血糊(ちのり)のついた妻の死体がすっくと立ち、その頭上に、赤い口を開き、片方の目をらんらんと輝かせた黒猫が座っていた。
[八木敏雄]
『八木敏雄訳『黄金虫・黒猫・アッシャー家の崩壊ほか五編』(講談社文庫)』
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黒猫
くろねこ
The Black Cat
アメリカの作家,詩人エドガー・アラン・ポーの短編小説。 1843年に『ユナイテッド・ステーツ・サタデー・ポスト』誌に発表,45年に『物語集』 Talesに収録。異常な心理から愛猫プルートーの片目をえぐり絞殺した男は,その夜火事にあい,焼け跡の壁には猫の姿が浮き出ていた。しばらくして片目のつぶれた黒猫を拾って家に連れ帰るが,次第に猫を憎むようになり,斧で殺そうとしてあやまって妻を殺し,その死体を地下室の壁に塗り込めるが,猫の鳴き声で発覚する。病的な心理,罪の意識や恐怖を黒猫で象徴したポーの初期の代表的佳作。
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黒猫【くろねこ】
ポーの短編小説。《The Black Cat》。1843年作。酒癖の悪い男が,黒猫を殺そうとして過って妻を殺害,死体を壁に塗り込めるが,猫のうめき声がもとで露見する。犯罪者の異常心理を一人称で語った作品。
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黒猫
①米国の作家エドガー・アラン・ポーの短編小説(1843)。原題《The Black Cat》。何度も映画化されている。
②1934年製作のアメリカ映画。原題《The Black Cat》。①を原作とする。監督:エドガー・G・ウルマー。
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世界大百科事典(旧版)内の黒猫の言及
【キャバレー】より
…客を楽しませる舞台やダンスホールを付設した酒場のことで,語源はフランス語といわれる。その本来の形のものとしては,1881年,サリRudolphe Salis(1852‐97)が俳優,詩人,音楽家,画家を誘って,パリのモンマルトルに〈黒猫Chat Noir〉を作ったのに始まる。それは酒場と芸術,時事性と笑いや楽しみを結合した新しいタイプの市民的娯楽の創造だった。…
【幻灯】より
…画面を動かす努力はレノーÉmile Reynault(1844‐1918)が開発したプラクシノスコープ(1892)により現在のアニメーションに限りなく接近した。19世紀後半はこれら幻灯の黄金時代であり,パリの有名なサロン,キャバレー〈黒猫〉などでは盛んに上映会も行われた。 東洋ではイスラム神秘主義の流入とともに15世紀ころ根づいたジャワの影絵[ワヤン],日本では江戸期に流行しだした走馬灯など,映像演劇,映像玩具がわずかに存在した。…
※「黒猫」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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