コルチゾン(その他表記)cortisone

翻訳|cortisone

デジタル大辞泉 「コルチゾン」の意味・読み・例文・類語

コルチゾン(cortisone)

副腎皮質ホルモンの一つ。糖質コルチコイドの主なもので、糖質代謝を促進する作用がある。また、抗アレルギー・抗炎症作用もあり、リウマチ性関節炎・気管支ぜんそくなどに用いられる。コーチゾン。→コルチゾール
[補説]1930年代半ばにウシの副腎組織から単離された。1940年代末に工業的な製造法が開発され、医薬品として広く使われるようになった。

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精選版 日本国語大辞典 「コルチゾン」の意味・読み・例文・類語

コルチゾン

  1. 〘 名詞 〙コーチゾン

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改訂新版 世界大百科事典 「コルチゾン」の意味・わかりやすい解説

コルチゾン
cortisone

副腎皮質ホルモンの一つ。副腎皮質ホルモンのうち天然ホルモンとして医薬品に実用化されているのは,コルチゾンとヒドロコルチゾンである。とくにコルチゾンは,1949年ヘンチP.S.Hench,ケンダルE.C.Kendallらによって,リウマチ関節炎患者に対する劇的効果が報告され,内分泌研究・治療のうえで歴史的に有名になったホルモンである。ともに糖質コルチコイドに属し,主として抗炎症作用が広範囲に利用される。そのため,共存する塩貯留作用(鉱質コルチコイド作用)をできるだけ抑え,かつ抗炎症作用をさらに増強することが要求され,多種類の合成副腎皮質ホルモンの研究が進められた。二重結合の導入によりプレドニゾンプレドニゾロン,さらにフッ素と水酸基の導入でトリアムシノロン,水酸基の代りにメチル基を入れたデキサメサゾンなどの強力な化合物が使用されるようになった。注射剤として,効力持続のために,これらの水不溶性誘導体懸濁液,ショックなどの緊急時に対して水溶性誘導体の水

溶液がある。静脈注射,筋肉注射,関節腔内の局所注入など投与法はさまざまである。さらに点眼剤,軟膏剤の外用剤も多く用いられる。膠原(こうげん)病(関節リウマチなど),アレルギー疾患ネフローゼ内分泌疾患亜急性甲状腺炎アジソン病など)など適用範囲は広い。しかし,ほとんどが対症療法である。現在の製剤は,まだ副作用が強いので,とくに連用はきわめて危険で注意を要する。今後,副作用の少ない合成品の開発が望まれる。
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化学辞典 第2版 「コルチゾン」の解説

コルチゾン
コルチゾン
cortisone

17α,21-dihydroxypregn-4-one-3,11,20-trione.C21H28O5(360.44).副じん皮質ホルモンの一つ.1936年,O. WintersteinerとJ. Pfiffnerによりウシの副腎からはじめて結晶状に単離されたが,同年,T. Reichstein(ライヒシュタイン),E.C. Kendall(ケンダル)らも抽出・結晶化に成功した.また,1950年,J.J. Schneiderは男子尿より単離している.1949年にP.S. Hench(ヘンチ)とKendallは,リウマチ性疾患に特効性を有することを報告した.デオキシコール酸ジオスゲニン,ヘコゲニン,スチグマステロールエルゴステロールなどの原料から合成されている.白色の結晶.融点215 ℃.+209°(エタノール).水にほとんど不溶,エタノール,アセトンに可溶,エーテル,ベンゼンに難溶.グルココルチコイド作用が強く,ミネラルコルチコイド作用は弱い.副腎皮質機能不全,リウマチ性疾患,アレルギー性疾患,皮膚疾患などの治療に用いられる.コルチゾンのエステル誘導体ではコルチゾン21-アセタートが知られている.[CAS 53-06-5]

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「コルチゾン」の意味・わかりやすい解説

コルチゾン
こるちぞん
cortisone

副腎皮質ホルモン(ふくじんひしつほるもん)の一つで、コーチゾンともいい、糖質代謝促進作用をもつ。1936年スイスの有機化学者ライヒシュタインとアメリカの生化学者ケンドルらがウシの副腎から単離した。その後デソキシコール酸からの部分合成および化学的全合成が達成された。現在では、工業的には合成化学と微生物を利用した反応を併用して製造されている。生体内ではコルチゾールから11位ヒドロキシ基の酸化により生成される。

 コルチゾンには抗アレルギー、抗炎症作用があり、神経痛、リウマチ、関節炎、気管支喘息(ぜんそく)、アジソン病のほか、目、皮膚、粘膜の急性炎症をはじめ、アレルギー疾患や慢性皮膚病に使用される。副作用として、むくみ、高血圧、糖尿、無月経などがある。

 その後の精力的な研究により、コルチゾール(ヒドロコルチゾンともいい、副腎皮質より抽出され、コルチゾンよりも強い糖質代謝作用を示す)、1-デヒドロコルチゾンアセテート、1-デヒドロコルチゾール(プレドニソロン)、9α(アルファ)-フルオロコルチゾンアセテートなど、副作用も少なく、優れた抗炎症、抗リウマチ効果のあるコルチコイド(副腎皮質から分離されたステロイド、および類似の作用をもつ物質の総称)が多数合成され、使用されている。日本薬局方にも酢酸コルチゾン、ヒドロコルチゾンをはじめ多数が収載されている。

[藤本善徳]


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百科事典マイペディア 「コルチゾン」の意味・わかりやすい解説

コルチゾン

化学式はC21H28O5副腎皮質ホルモンの一種でコーチゾンとも。糖代謝を促進して,血糖を増加させ,リンパ系統の作用を弱めるなどの作用を持つ。よく似た構造のヒドロコルチゾンはその誘導体で,医薬品としてアディソン病,結膜炎,関節リウマチ等に用いる。長期連用すると浮腫,多毛症,高血糖などの副作用がある。
→関連項目鼻茸

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栄養・生化学辞典 「コルチゾン」の解説

コルチゾン

 C21H28O5 (mw360.45).

 副腎皮質で作られるステロイドホルモンで,グルココルチコイドとしての活性がコルチゾールに次いで強い.

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世界大百科事典(旧版)内のコルチゾンの言及

【副腎皮質ホルモン】より

…副腎皮質から生成・分泌されるステロイドホルモンの総称で,同じ作用をもつ合成物質を含めてコルチコイドcorticoidまたはコルチコステロイドcorticosteroidともいう。副腎皮質ホルモンには,糖質コルチコイド(グルココルチコイドglucocorticoid)であるコルチゾール,コルチゾン,鉱質コルチコイド(ミネラルコルチコイドmineralocorticoid)であるアルドステロン,副腎性アンドロゲンであるデヒドロエピアンドロステロン,アンドロステンジオンなどがある。コルチゾール,コルチゾンは,肝臓におけるタンパク質からの糖新生を促進するほか,抗炎症・抗アレルギー作用などを示す。…

※「コルチゾン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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