龍潭寺(読み)りようたんじ

日本歴史地名大系 「龍潭寺」の解説

龍潭寺
りようたんじ

[現在地名]彦根市古沢町

佐和さわ山の西麓にある。弘徳山と号し、臨済宗妙心寺派。本尊釈迦如来。開基は元和三年(一六一七)で、昊天崇建を開山とする。当寺の創建は彦根藩主井伊家と深いつながりがある。井伊家は井伊谷いいのや(現静岡県引佐町)を本貫とする家系(寛政重修諸家譜)、井伊谷にも井伊氏菩提寺の龍潭寺がある。元和三年井伊谷龍潭寺五世昊天を迎えて建立されたのが当寺で、同七年二代藩主直孝室が被葬され、以後江戸時代を通じて井伊家の手厚い保護を受けた。本山中興の祖藍渓慧湛の住持時代には寺観の再整備が行われ、藍渓没後の享保一九年(一七三四)に落慶供養が挙行された(寺蔵文書)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「龍潭寺」の意味・わかりやすい解説

龍潭寺
りょうたんじ

静岡県浜松市北区引佐(いなさ)町井伊谷にある臨済(りんざい)宗妙心寺派の寺。萬松山(ばんしょうざん)と号する。本尊は虚空蔵菩薩(こくうぞうぼさつ)。733年(天平5)行基(ぎょうき)が開創し、八幡山地蔵寺(はちまんさんじぞうじ)と称したというが、1093年(寛治7)井伊家の元祖共保がこの寺に葬られてから同家の菩提(ぼだい)寺となって安泰寺と改称。1386年(元中3・至徳3)、井伊道政は後醍醐(ごだいご)天皇の皇子宗良(むねなが)親王の追福のために冷湛寺(れいたんじ)と改めた。天文(てんぶん)年間(1532~55)井伊直盛(なおもり)が黙宗瑞淵(もくしゅうたんえん)を招いて中興開山とし、これより妙心寺派の寺となった。1560年(永禄3)井伊直盛が戦死すると、その子直親(なおちか)が父の法名をとって現在の山寺号となった。代々井伊家の菩提寺として栄えた寺で、本堂は江戸初期の禅宗寺院方丈の形式を伝え、庭園は小堀遠州の作といわれ、国名勝。寺宝の『宋(そう)版錦繍(きんしゅう)万花谷(ばんかこく)』は国指定重要文化財。

菅沼 晃]


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デジタル大辞泉プラス 「龍潭寺」の解説

龍潭寺〔静岡県〕

静岡県浜松市北区にある臨済宗妙心寺派の寺院。山号は松山、本尊は虚空蔵菩薩。寺伝では行基による開創とされる。井伊家の菩提寺。庭園は小堀遠州作と伝わり、国の名勝に指定。

龍潭寺〔滋賀県〕

滋賀県彦根市、佐和山西麓にある寺院。「りょうたんじ」と読む。宗派は臨済宗妙心寺派。山号は弘徳山。井伊家始祖、共保(ともやす)以来、井伊家の菩提寺。

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