精選版 日本国語大辞典 「マイ」の意味・読み・例文・類語
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ドイツの冒険小説家。ザクセン地方の織工の子として生まれ,5歳まで目が見えなかった。極貧の中で苦学し教師をめざすが数度の詐欺行為による入獄のため目的を果たさず,編集者を経て作家となる。農村小説やユーモア小説を手がけたのち冒険小説に転じ,オリエントを舞台にした《砂漠を越えて》(1892)の連作やアメリカ西部を舞台にした《ウィネトウ》(1893-1910),《オールド・シュアハンド》(1894-96)などで一躍流行作家となったが,マイ自身はそれらの地は知らなかった。高潔で自由なドイツ人キリスト教徒が冒険を通じて悪を懲らし異教徒を教化するという全物語共通の図式は,資本主義化の進行によって生活環境から失われた自己同一性への青少年の欲求を充足させるものであった。他に象徴的小説《アルディスタンとジニスタン》(1902),自伝《我が生涯と苦闘》(1910)があり,多くの作品が映画化されている。
執筆者:保坂 一夫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
ドイツの小説家。ドイツでもっとも多く読まれた大衆小説、少年小説作家。その発行部数は第二次世界大戦後だけでも3000万部(いわゆるマイ・ルネサンス)、累計では6000万部に達する(1980現在)。極貧の家庭に生まれ、犯罪者として前半生の十数年を獄舎で送り、出獄後33歳で初めて筆をとり、以後全集74巻に及ぶ膨大な作品を残した。このうち約3分の1は青少年向き。舞台を中近東、アメリカ西部、その他とほぼ三つに分けて冒険小説を書いた。主著は、作者が「私」の形で、アパッチの首長(しゅちょう)ウィネトゥとの友情と大西部における冒険を語った『ウィネトゥ』全三巻(1893)。
[山口四郎]
メイをも見よ。
出典 日外アソシエーツ「20世紀西洋人名事典」(1995年刊)20世紀西洋人名事典について 情報
…しかし,わずかではあるが,ウォルフF.Wolf,ウィーヘルトE.Wiechertらのすぐれた作品がある。 現在ドイツは2分しているが,ケストナー以下ミューレンウェークF.MühlenwegやヘルトK.Held,シュポンゼルH.SponselやバウマンH.Baumannと歴史もの・冒険もののうまい作家がつづき,リュートゲンK.Lütgenも前代の大衆作家K.マイを顔色なからしめている。動物物語ではクナークK.KnaakやシュトイベンF.Steubenが出てレーンスH.Lönsを古くした。…
※「マイ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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