日本の伝統詩歌および韻文の韻律(調子)の名称で、七五調とともに、その基本をなすもの。一般的に日本古典韻文は5拍の句と7拍の句を基本にしている。その組合せのなかで、「五七/五七/五七/……」の続き方をするものを、とくに五七調とよぶ。記紀歌謡に始まり『万葉集』時代に全盛期を迎える長歌は五七調を基本とした。「うつせみと 思ひし時に/取り持ちて わが二人見し/走出(はしりで)の 堤に立てる/槻(つき)の木の こちごちの枝(え)の/春の葉の 茂きが如(ごと)く/思へりし 妹(いも)にはあれど/たのめりし 児(こ)らにはあれど/……」(『万葉集』柿本人麻呂(かきのもとのひとまろ))などが長歌の典型的な型である。短歌では、「春過ぎて 夏来たるらし/白栲(しろたへ)の 衣乾したり/天の香具山(かぐやま)」(『万葉集』持統(じとう)天皇)のように、「五七/五七/七」の形を五七調とよんでいる。そのほか、「五七七/五七七」の旋頭歌(せどうか)も、五七調を基にした詩型とみなすことができる。五七調は古代前期においては優勢を占めたが、奈良朝末期からしだいに七五調にとってかわられ、勅撰(ちょくせん)集時代には七五調に主流を譲る。しかし、江戸、明治期に至って万葉調歌人が出現するに及んで、ふたたび復活の兆しをみせたのであった。
[佐佐木幸綱]
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…フランス詩でひろく用いられるアレクサンドランalexandrinという詩行は,1行が12の音綴から成り,その6音目に句切りを置くのを正格とする。日本の詩歌の,いわゆる七五調や五七調も,音数だけを問題にする点ではこれに近いが,実際には長音を2音と数え,促音や撥音を1音と数えるなどの整理が加えられている。ただし7音や5音の音群については音脚概念の萌芽のようなものが見受けられ,これをさらに精密化して,2音もしくは3音による音脚の存在を説く理論家もある。…
…文芸用語。主として歌論,詩論に用いられる語で,五七調とならんで,日本の詩歌における音数律の主たる一形式である。7音節とそれに続く5音節とが1単位となったものをいう。…
※「五七調」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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