岩泉(町)(読み)いわいずみ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「岩泉(町)」の意味・わかりやすい解説

岩泉(町)
いわいずみ

岩手県北東部下閉伊郡(しもへいぐん)にある町。1923年(大正12)町制施行。1956年(昭和31)大川(おおかわ)、安家(あっか)、小本(おもと)、有芸(うげい)の4村、1957年小川村と合併し、北海道を除くと全国で最大面積の町となった。JR岩泉線の終点であった(2014年廃線)。三陸鉄道リアス線、国道45号、340号、455号が通じる。西部北上(きたかみ)高地から流れる小本川流域にあり、東部は太平洋に臨む。町域の大部分は山林原野で占められ、藩政時代から牛馬小作や名子(なご)制度が行われてきた。昭和初期に明治乳業の工場が立地し、酪農が盛んになったが、工場は1977年に閉鎖した。2011年(平成23)の東日本大震災では死者10人、住家全壊177棟・半壊23棟の被害を受けている(消防庁災害対策本部「平成23年東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)について(第159報)」平成31年3月8日)。国指定天然記念物の龍泉洞(りゅうせんどう)、安家洞などの鍾乳洞(しょうにゅうどう)、三陸復興国立公園(旧、陸中海岸国立公園)に含まれる熊の鼻海岸、県立自然公園の早坂高原など自然景観に恵まれている。面積992.36平方キロメートル(一部境界未定)、人口8726(2020)。

[川本忠平]


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改訂新版 世界大百科事典 「岩泉(町)」の意味・わかりやすい解説

岩泉[町] (いわいずみ)

岩手県東部,下閉伊(しもへい)郡の町。人口1万0804(2010)。北上高地の中東部に位置し,北は久慈市,西は盛岡市に接し,東は太平洋に臨む。広大な町域は標高1200m前後の山々に占められ,地形はきわめて険しく平地に乏しい。北部の安家(あつか)地区から南に走る石灰岩層は首邑の岩泉地区に延びて鍾乳洞群を形成する。とくに日本三大鍾乳洞の一つに数えられる竜泉洞や日本最大の規模を誇る安家洞(天)は有名である。主産業は農林漁業であるが出稼者が多い。海岸は陸中海岸国立公園,中部の鍾乳洞群は早坂県立自然公園に含まれる。鍾乳洞に生息する5種のコウモリは天然記念物となっている。JR岩泉線が通じる。
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百科事典マイペディア 「岩泉(町)」の意味・わかりやすい解説

岩泉[町]【いわいずみ】

岩手県東部,下閉伊(しもへい)郡の町。全町,山地と丘陵地。太平洋沿いに三陸鉄道が通じる。かつて南部駒の産地であったが,現在は畜産経営を主体に,畑作園芸も行う。耐火粘土,南部紬(つむぎ)も産する。石灰岩地域が広く,安家洞(あっかどう),竜泉洞がある。東日本大震災で,町内において被害が発生。992.36km2。1万804人(2010)。

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