林屋正蔵(読み)ハヤシヤショウゾウ

デジタル大辞泉 「林屋正蔵」の意味・読み・例文・類語

はやしや‐しょうぞう〔‐シヤウザウ〕【林屋正蔵】

[1780~1842]落語家初世林屋(5代目から林家)派の祖。江戸の人。初世三笑亭可楽門下道具を使用した怪談ばなしを創始。戯作もよくした。

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精選版 日本国語大辞典 「林屋正蔵」の意味・読み・例文・類語

はやしや‐しょうぞう【林屋正蔵・林家正蔵】

  1. 落語家。四世までは林屋と表記
  2. [ 一 ] 初世。初世三笑亭可楽門下。文化年間(一八〇四‐一八)怪談ばなしを創始。戯作もよくし、二代鹿野武左衛門を名のる。安永九~天保一三年(一七八〇‐一八四二
  3. [ 二 ] 二世。前身は托善という禅僧で、「野ざらし」「こんにゃく問答」などの作者といわれる。生没年未詳。

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新撰 芸能人物事典 明治~平成 「林屋正蔵」の解説

林屋 正蔵(5代目)
ハヤシヤ ショウゾウ


職業
落語家

本名
吉本 庄三郎

別名
初名=林屋 正吉,前名=林屋 正橋,林屋 正鶴,林屋 正鱗

生年月日
文政7年 11月11日

出生地
三河国幡豆郡平坂(愛知県)

経歴
代々名主の家柄だったが父の代に没落。14歳の時江戸へ出て青山の酒屋に奉公するが、その後奉公先を転々とし、天保12(1841)年頃桂語楽の紹介で2代目沢善正蔵の弟子となり正吉と名乗る。ついで正橋と改めるが22歳頃江戸を出て旅まわりをする。慶応(1865〜68)の初め一旦江戸に戻るが弟弟子の正楽が4代目を継いでいたため、さらに正鶴から正鱗と改めるが、再び旅まわりを続ける。明治12年4代目が没し、21年に65歳でようやく5代目林屋正蔵を襲名した。以降話芸にうまさを増し、柳派の老大家として歳を経るに従い珍重された。45年2月林屋正童と改名。90歳を過ぎてもなお高座に上がり、怪談と高齢を売り物に地方巡業をした。得意の演目は「深川怪談染分手網」「正直清兵衛雪埋木」「とろろん」(音曲噺)など。悠々自適の隠居中、丁度百歳で没したので“百歳正蔵”、また隠居先から“沼津の正蔵”とも呼ばれた。

没年月日
大正12年 3月6日 (1923年)


林屋 正蔵(4代目)
ハヤシヤ ショウゾウ


職業
落語家

別名
前名=林屋 上蔵,林屋 正楽

生年月日
?

経歴
はじめ歌舞伎俳優で、市川東次または中村藤次。嘉永4(1851)年頃2代目林屋正蔵の門人となり上蔵を名乗る。その後正楽と改め、慶応(1865〜68)初年頃に4代目林屋正蔵を襲名した。明治の新政で芸名をそのまま本名に登録したものと思われる。明治7年頃から10年頃亭号を二木屋とした時期があり、最晩年には正翁を名乗った。怪談噺を得意とし、麻布我善坊に住んだことから「我善坊の正蔵」と呼ばれた。

没年月日
明治12年 7月2日 (1879年)

出典 日外アソシエーツ「新撰 芸能人物事典 明治~平成」(2010年刊)新撰 芸能人物事典 明治~平成について 情報

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「林屋正蔵」の解説

林屋正蔵(初代) はやしや-しょうぞう

1781-1842 江戸時代後期の落語家。
天明元年生まれ。初代三笑亭可楽の門下。楽我,可竜,笑三をへて林屋正蔵を名のる。怪談噺(ばなし)の創始者。狂歌,義太夫などにも長じ,噺本「升(ます)おとし」や合巻「帯屋於蝶三世談(おびやおちょうさんぜものがたり)」の著作をのこす。一時2代鹿野(しかの)武左衛門を名のった。天保(てんぽう)13年6月5日死去。62歳。江戸出身。

林屋正蔵(2代) はやしや-しょうぞう

?-? 江戸時代後期の落語家。
初代正蔵の養子。もと托善(たくぜん)(沢善)という曹洞(そうとう)宗の僧。「野晒(のざら)し」「蒟蒻問答(こんにゃくもんどう)」の作者として知られる。弘化(こうか)-嘉永(かえい)(1844-54)のころ活躍したらしい。

林屋正蔵(4代) はやしや-しょうぞう

?-1879 幕末-明治時代の落語家。
はじめ歌舞伎役者。2代正蔵に入門。正楽などをへて慶応元年ごろ4代を襲名。東京麻布(あざぶ)我善坊(がぜんぼう)にすんでいたので「我善坊の正蔵」といわれた。明治12年7月2日死去。

林屋正蔵(3代) はやしや-しょうぞう

?-? 江戸時代後期の落語家。
初代正蔵の娘婿となって3代をつぐ。のち離婚して安政4年(1857)に2代柳亭左楽(りゅうてい-さらく)を襲名した。滑稽噺(こっけいばなし)にすぐれた。幼名は新治郎。

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