日本大百科全書(ニッポニカ) 「NHK交響楽団」の意味・わかりやすい解説
NHK交響楽団
えぬえいちけーこうきょうがくだん
日本を代表するオーケストラ。略称「N響(エヌきょう)」。1926年(大正15)10月5日、新交響楽団(新響)の名で結成、翌1927年(昭和2)2月から定期演奏会を開始。当時はおもに近衛秀麿(このえひでまろ)とヨーゼフ・ケーニヒJosef Baltasar Konig(1875―1932)が指揮した。1942年日本交響楽団と改称。また、JOAKシンフォニー・オーケストラの名称でラジオ放送にしばしば出演する一方、ワインガルトナー、ローゼンストックらの指揮者を迎えて演奏会を行った。
第二次世界大戦後にNHK(日本放送協会)との関係を深め、1951年(昭和26)8月、NHK交響楽団と改称、財団法人ながら実質的にはNHKが運営上の責任を負う形になった。第二次世界大戦後はウィルヘルム・シュヒター、外山雄三(とやまゆうぞう)(1931―2023)、岩城宏之(いわきひろゆき)らが常任指揮者ないしそれに準ずる位置を占めた。1960年代以降しばらくは常任指揮者を置かず、カイルベルト、マタチッチ、ローゼンストック、サバリッシュ、シュタイン、スイトナー、ブロムシュテットらの名誉指揮者を迎えての定期演奏会を行ってきたが、創立70周年にあたる1996年(平成8)シャルル・デュトワが常任指揮者(1998年からはN響史上初の音楽監督)に就任。デュトワの後任として2004年9月からはウラディーミル・アシュケナージが第2代音楽監督に就任した(~2007年8月)。1927年(昭和2)の第1回から続けられている定期演奏会は、NHKホール、サントリー・ホールを拠点に、年間27プログラム、54回の公演が行われているほか、地方都市への引越し公演、特別演奏会、海外公演などのコンサートが行われている。
[美山良夫]
『NHK交響楽団編『NHK交響楽団五十年史』(1977・日本放送出版協会)』▽『NHK交響楽団編・刊『N響の歩み』(1987)』▽『原田三朗著『オーケストラの人びと』(1989・筑摩書房)』▽『長谷恭男著『斜めから見たマエストロたち』(1990・同成社)』▽『岩城宏之著『チンドン屋の大将になりたかった男――N響事務長・有馬大五郎』(2000・日本放送出版協会)』