歩行を開始したころに歩き方の異常として気づかれることが多い病気です。新生児期のO脚は正常であり、2歳までに急速に改善していきます(図32)。初めて歩いた時期が早いとO脚が重症化して、改善に時間がかかることがあるといわれています。
専門医の診察を受ける必要があるのは、
①明らかな左右差のあるO脚
②立位での左右の膝の距離が指4本分以上の重度のO脚
③2歳を過ぎて自然治癒しないO脚
の3つです。これらの場合は病気である可能性があるので、血液検査と膝蓋骨正面の立位下肢X線検査を受けてください。
区別すべき疾患に、くる病、骨系統(こつけいとう)疾患(先天性の骨の成長障害を呈する疾患群)、ブラウント病、骨折、
くる病では血清リン値の低下、アルカリフォスファターゼ値の上昇を認めます。骨系統疾患、ブラウント病の診断にはX線検査が有用です。ブラウント病はO脚を来す原因不明の疾患で、X線で
2歳以下で、前記の鑑別疾患を除外できれば自然回復を期待した経過観察でかまいません。くる病など基礎疾患があれば、該当する基礎疾患の治療を行います。装具治療は、骨系統疾患や、X線上は大腿骨と脛骨の骨軸のなす角度が195度以上の場合に考慮されますが、その有効性には疑問が残っています。10歳まで経過観察しても
川端 秀彦
出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報
膝(ひざ)を頂点として下肢が外方へ凸に彎曲(わんきょく)したものを内反膝(ないはんしつ)といい、両側性の場合をO脚とよぶ。俗に「がにまた」とよばれる。O脚は内反膝とともに大腿(だいたい)内反と下腿内反が存在し、下肢全体が外方へ凸に彎曲していることが多い。生後1年くらいまでは生理的に軽度のO脚であるが、高度のものは病的である。なお、両側性の外反膝はX脚とよぶ。
O脚は、くる病、骨軟化症、先天梅毒などでもおこるが少なく、おもに下肢の発育に比べて体重が過重な幼児に多く、下肢の発育が十分でない乳児を無理に起立させることも一原因となる。起立姿勢をとったときに両膝がくっつかず、歩くと上体が左右に大きく揺れるので気づく。徒手あるいは装具による矯正で治癒する可能性があるが、年長児になると矯正手術が必要である。高年者の変形性膝関節(しつかんせつ)症ではO脚を合併することがしばしばあり、膝関節痛が頑固で手術的治療を要することがある。そのほか、内反膝は膝部の外傷や炎症などの疾患の後遺症としてみられることもあり、原因疾患の治療を要する。
[永井 隆]
両下肢がひざを中心に外側に凸に湾曲して,全体としてO字形をなす下腿の湾曲と大腿を含む下肢の変形をいう。俗にいう〈がにまた〉。ひざが外側に凸に湾曲することを内反膝(ないはんしつ)というが,O脚は両側のひざに起こっている状態である。乳児は生理的に軽いO脚であるが,発育に伴ってその度が減少し,2~3歳以後は軽度のX脚になるのがふつうである。しかし3~4歳以後になってなお外見上目だつもの,両ひざの間に指が2~3本入るようなものは病的なO脚であると考えられる。大腿骨と下腿骨の発育は主として,それぞれ膝関節近くの骨端線軟骨で行われるが,O脚変形はこの骨端線軟骨の発育が内側と外側で異なることによって生ずる。その原因となるおもな病気には,くる病などの骨の代謝性疾患や,先天性の骨の異形成などがある。くる病では内科的治療によって変形も矯正されるが,先天性の骨異形成で治癒する傾向がない場合は,手術的に矯正する必要がある。骨切り術や,骨端線外側部の発育を抑制する〈かすがい打込み法〉がよく行われる。
執筆者:吉川 靖三
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