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デジタル大辞泉
「PCB」の意味・読み・例文・類語
ピー‐シー‐ビー【PCB】[polychlorinated biphenyl]
ピー‐シー‐ビー【PCB】[printed circuit board]
《printed circuit board》⇒プリント基板
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PCB【ピーシービー】
ポリ塩化ビフェニルの略。塩化ビフェニルとも。ベンゼン環が二つ連なったビフェニルの1個以上の水素が塩素で置換された合成有機化合物。理論的には210種の異性体が考えられる。水に不溶。油・有機溶媒に可溶。耐熱性,電気絶縁性にすぐれ,化学的に非常に安定。生産も容易で安価なため,絶縁油,熱媒体,可塑剤,塗料・印刷インキ,感圧紙などに広く用いられた。日本での総生産量5万7730t(1971年まで)。自然界では容易に分解されず生体内の脂肪組織などに蓄積。1966年以来環境汚染物質として注目され,1968年カネミ油症事件ではPCBによる急性中毒症状が顕著に現れ,1972年には使用禁止が世界の趨勢(すうせい)となった。日本では1972年9月1日より使用禁止。いわゆる環境ホルモンの一つではないかとの報告もある。
→関連項目海洋汚染|化学物質審査規制法|カネミ油症事件|ごみ公害|生物濃縮|バーゼル条約|ビフェニル
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PCB
ピーシービー
polychlorinated biphenyl
ポリクロロビフェニルの略で,ポリ塩素化ビフェニルともいい,ポリ塩化ビフェニルは,誤訳であるが慣用語として使われている。ビフェニル (→ジフェニル ) を塩素化することで,1分子中にあるそれぞれ3~6個の水素原子を,塩素原子に置き換えて得られた同族体の混合物である。淡黄色の油性から暗色の固体まであり,用途により混合物の組成が異なる。電気の絶縁性が高く,不燃で,安定性に優れているため,トランスやコンデンサの絶縁体,熱媒体,塗料,印刷用インキ,複写紙,可塑剤などと広範囲に利用されるようになったが,カネミ油症事件を契機に,1972年生産が中止され,厳しい使用制限を受けている。生体内に入ると分解されずに脂肪内に蓄積され,視力障害や肝臓障害などの中毒症状を起こす。日本における累積使用量は6万tに達し,2万~3万tは回収不能とされ,回収した分についても,適切な処理方法がないため蓄えられたままになっていたため,その保管・処分を規制するとともに処理を促進すべく,環境事業団に PCB処理施設の設置・管理権限を与える環境事業団法改正とともに 2001年,PCB特別措置法=「ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法」 (平成 13年法律 65号) が制定された。 2004年4月環境事業団は解散し,独立行政法人の環境再生保全機構にポリ塩化ビフェニル廃棄物処理助成事業 (PCB基金) が,日本環境安全事業株式会社にポリ塩化ビフェニル廃棄物処理事業がそれぞれ承継された。
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ピーシービー【PCB】
ポリ塩化ビフェニルpolychlorinated biphenylの略。2個のベンゼンがつながったビフェニルに塩素がついたもので,塩素のつく位置と数で多くの異性体がある。日本では1954年から生産され,カネクロール(鐘淵化学),アロクロール(三菱モンサント)の商品名で市販された。安定性,不燃性,電気絶縁性に優れ,コンデンサー,変圧器の絶縁油,熱媒体,潤滑油,可塑剤,印刷インキ,塗料,感圧紙などに広く用いられた。
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世界大百科事典内のPCBの言及
【PCB】より
…安定性,不燃性,電気絶縁性に優れ,コンデンサー,変圧器の絶縁油,熱媒体,潤滑油,可塑剤,印刷インキ,塗料,感圧紙などに広く用いられた。68年に発生したカネミ油症事件は,加熱用熱媒体に用いたPCBの混入した米ぬか油を食べたために起こったものである。 製造工程や使用過程,または廃棄処理によって排出されたPCBは容易に分解しないため,水質,底質,土壌などに蓄積して動植物に吸収される。…
【海洋汚染】より
…また鉱・工業からの廃液中の銅が沿岸のカキを汚染し,緑色の有毒カキが生産されたことも有名な事件である。(3)DDT,PCBの汚染 農業の生産性を高めるために,どこの国でも,多量の化学肥料や農薬を用いている。そのために生産性は確かに上がったが,一方では散布された農薬や余分の肥料は,大気中を浮遊し,地表に落下したものは河川を通じ,最終的には海洋に流れ込み,海洋の農薬汚染をもたらした。…
【油症】より
…PCBが原因となって起こった食品公害病。1968年10月,福岡県に痤瘡(ざそう)様皮疹を主訴とした〈奇病〉が多発した。…
※「PCB」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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