2006年施行の障害者自立支援法を改正し、13年に施行された。障害のある人が基本的人権のある個人として、その尊厳にふさわしい生活を送ることができるよう必要となる福祉サービスの在り方を定める。「全国民が人格と個性を尊重し合い、共生する社会の実現」を基本理念とし、行政にサービス提供体制の確保、事業者には利用者の立場に立った支援を求めている。法令に違反した事業者には都道府県が指定取り消しや勧告、命令などの処分ができる。
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障害者が障害の程度や心身の状態などに応じて受けられる福祉サービスを定め、地域社会における日常的な生活を総合的に支援するための法律。正式名称は「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」(平成17年法律第123号)。改正障害者基本法を踏まえ、障害者自立支援法の一部を改正し、2012(平成24)年6月成立、2013年4月に施行。
2000年に制定された社会福祉法は、「個別給付型社会福祉」を脱却して「地域生活支援型社会福祉」を目ざしたが、障害者自立支援法の制定をめぐっては、なお旧来の「個別給付型社会福祉」を期待する考え方があり、サービスに対する一部費用負担(応益負担)に関し異論があった。またこれにかかわる問題では多くの訴訟を抱えるなどしたため、障害者団体との協議機関を設け、その提言を骨格に改正案の立案を進めてきた。
障害者自立支援法からのおもな改正点は以下の4点である。(1)制度の谷間を埋めるため、障害者の範囲に「難病等」が加えられた。(2)従来の「障害程度区分」を改め、障害の程度の判断に心身の状態を配慮することができる「障害支援区分」を創設した。(3)障害者に対する支援として、重度肢体不自由等で常時介護を要する重度訪問介護の対象を拡大した。共同生活介護(ケアホーム)を共同生活援助(グループホーム)に一元化した。また、障害者の地域での生活に関する支援、啓発活動を拡大した。(4)障害福祉サービス等の提供体制を確保するサービス基盤の計画的な整備を行う。
また、難病の障害者範囲の追加や重度訪問介護サービスの対象拡大は実現したが、障害福祉サービスのきめ細かな充実、障害支援区分の認定を含めた支給決定の見直しなどの提言の多くは、施行後3年をめどに再検討することになった。
なお、社会福祉基礎構造改革における(1)措置から契約へ、(2)個人の自立支援、(3)福祉の市場化、(4)競争原理の導入等といった考えに基づき、市町村に一元化して、身体・知的・精神などの障害者種別を超え共通するサービスを提供する、という趣旨は生かされている。障害者の支援に関して、民法における扶養義務の改正(障害者の自立性を尊重し、障害者本人が支払える応能負担制度となるよう、扶養義務者の範囲を再検討すること)、障害基礎年金の拡充(障害者が自立した生活を送るために十分な給付額を再検討すること)など、手をつけられないまま、附則第3条の検討規定にも盛り込まれなかった内容が少なくない。
[吉川武彦]
(南 文枝 ライター/2017年)
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