あられ

精選版 日本国語大辞典 「あられ」の意味・読み・例文・類語

あられ

  1. 〘 名詞 〙あらればしり(踏歌)
    1. [初出の実例]「是の日に、漢人等、(アラレ)(つかへまつ)る」(出典日本書紀(720)持統七年正月(北野本訓))

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

日本大百科全書(ニッポニカ) 「あられ」の意味・わかりやすい解説

あられ(米菓)
あられ / 霰

米菓、煎餅(せんべい)の一種。霰餅(あられもち)のこと。かき餅に類する菓子だが、あられの場合は本来、餅を賽(さい)の目のような小方形に刻み、炒(い)りつけて食べたので、かき餅より形状の小さなものといえる。関西ではあられも含めてかき餅だが、女房詞(ことば)でやさしく「おかき」ともいう。おかきの語は、現在では東京でも一般化して用いられるようになった。慶長(けいちょう)年間(1596~1615)奈良で創製された霰酒(あられざけ)には、のし餅を細かく刻んで焼酎(しょうちゅう)に漬けては乾燥させてつくった餅あられが使われたといわれる。しかし、それまであられの手法がなかったわけではなく、文明(ぶんめい)年間(1469~1487)の連歌の句に「老松の葉には咲かむや霰餅」の句もある。

 今日的な製法は、糯米(もちごめ)を蒸して搗(つ)き、冷温で固化させたのち切断、乾燥し、いったん焙焼(ばいしょう)してから、しょうゆ、砂糖、塩で味つけ、つや出し後、さらに焙炉(ほいろ)で乾燥させる。製品に、のり巻きあられ、鬼あられ、揚げ餅、柿の種などがある。

[沢 史生]


あられ(固形降水)
あられ / 霰

固形降水とよばれる雪の仲間の一つ。トタン屋根などに降るとパラパラと音がする。直径2~5ミリメートル程度の白色透明な氷の粒で、球あるいは円錐(えんすい)に近い形をしている。落ちたとき、たやすく壊れるものと、壊れないものがある。普通、冬季に対流性の雲から降るが、地方標高による差がある。太平洋側に比べて日本海側のほうが多く、北陸や北海道などではかなりの量になることもある。晩秋、初冬の季節風の吹き出しの際など、雪の前にあられが降ることが少なくない。そこで初あられが、季節の変わりの目安とされる。

 雲の中であられができるとき、雪の結晶、あるいは凍った比較的大きい雲粒などが、しんになる。しんがある大きさを超えると、落下するにしたがって、過冷却した小さな雲粒が付着して、すぐ凍り付く。初めは付着雲粒の数が少ないため、雪に近い形をしているが、やがて、雪とあられの中間のものになる。雲粒は下面によく付着するため、雪の結晶が板状であるときは、落下するにつれて円錐形になりやすい。もとの六花形の結晶のあとが認められるものは六花あられとよばれる。普通の雪に比べて、温度が高く水蒸気が豊富なことが成長の条件とされている。密度は地方によって異なり、0.1~0.4グラム毎立方センチメートルの範囲であるが、暖候期にはもっと大きいこともある。落下速度は、小さくて軽ければ毎秒1メートルくらいであるが、密度が大きいと数倍も速くなる。

[篠原武次]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

百科事典マイペディア 「あられ」の意味・わかりやすい解説

あられ(霰)【あられ】

降水の一種で,直径2〜5mmの小球。雪あられは雪に少量の過冷却水滴がついたもので,冬に気温が0℃近くのとき,多くは降雪の前後に降り,色は白く,柔らかい。氷あられは堅い氷の粒でひょう(雹)の小粒のもの。気温が0℃より高いとき積乱雲から降ってくる。
→関連項目凍雨

あられ(霰)【あられ】

あられ餅(もち)の略。細かく切った餅をよく乾燥させ,炒(い)ったり揚げたりしてふくらませ,醤油などで味付けしたもの。ノリを巻いた品川巻,トウガラシをきかせた柿の種など。また飯粒を干して炒った糒(ほしい)あられ,これに砂糖をかけた雛(ひな)あられなどがある。
→関連項目せんべい(煎餅)

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

知恵蔵 「あられ」の解説

あられ

主に積乱雲から落下する氷の粒のうち、直径5mm未満をあられ、5mm以上のものがひょう。氷あられは透明または半透明で、気温が0℃以上の初冬や夏に降る。雪あられは白色不透明で、一般には気温0℃以下の時に雪と共に降る。氷粒が積乱雲の中で上昇・落下を繰り返して直径50mmのひょうになると、時速115kmもの速度で落下。雨氷は0℃以下に過冷却した雨粒が、電線や樹木などに当たり、直ちに凍結した氷。鉄道架線凍結などを起こす。

(饒村曜 和歌山気象台長 / 宮澤清治 NHK放送用語委員会専門委員 / 2007年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「あられ」の意味・わかりやすい解説

あられ
snow pellets; ice pellets

雲から落下する氷の粒,またはそれらが落下する現象。霰。氷の粒の直径は 5mm未満,色は白色不透明・半透明または透明である。雪あられと氷あられがあり,天気予報では雪あられは,氷あられはに含める。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

プラチナキャリア

年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...

プラチナキャリアの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android