アマゾン(読み)あまぞん(その他表記)Amazon. com, Inc.

デジタル大辞泉 「アマゾン」の意味・読み・例文・類語

アマゾン(Amazōn)

ギリシャ神話で、女性ばかりからなる部族。勇猛で、弓を引くのに右の乳房がじゃまになるとして切り取ったという。また転じて、女傑・女丈夫の意に用いる。アマゾネス
[補説]通俗語源説ではギリシャ語で「乳なし」の意。南アメリカアマゾン川も、その流域に女のみの部族がいると伝えられたことから、名づけられた。

アマゾン【Amazon】[企業名]

アマゾンドットコム」の略。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

共同通信ニュース用語解説 「アマゾン」の解説

アマゾン

1995年に米国で創業したインターネット小売り大手で、正式社名はアマゾン・コム。世界14カ国でウェブサイトを運営し、世界中に利用者を持つ。本社は米シアトル。書籍のほか、CDやDVD、ゲーム機器や家電などネット上で多様な商品を購入できる。2013年12月期のグループ総売上高は約744億ドル。日本では00年11月、日本法人「アマゾンジャパン」が日本語サイトを開設した。

更新日:

出典 共同通信社 共同通信ニュース用語解説共同通信ニュース用語解説について 情報

精選版 日本国語大辞典 「アマゾン」の意味・読み・例文・類語

アマゾン

  1. ( [ギリシア語] Amazōn ) ギリシア神話で、女性ばかりからなるという民族。戦いと狩りを好み、弓を射る邪魔にならないように右の乳房を取り除いていたので、アマゾーン(「乳なし」の意)と呼ばれたという。アマゾネス。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

日本大百科全書(ニッポニカ) 「アマゾン」の意味・わかりやすい解説

アマゾン(オンラインストア)
あまぞん
Amazon. com, Inc.

世界最大級のインターネット上のオンラインストア(電子商取引システム)。本社はアメリカ、ワシントン州シアトル。2017年時点で、アメリカ以外では日本、イギリス、ドイツ、フランス、イタリア、スペイン、オランダ、カナダ、中国、インド、オーストラリア、メキシコ、ブラジルで各国向けの事業を展開している。

 1995年7月にジェフ・ベゾスJeffrey Bezos(1964― )によって創業された。創業当初は書籍販売を専門としており、インターネット上の書店という位置づけであった。その後、電気製品、CD、DVD、ソフトウェア、家庭雑貨、玩具、飲食物、衣類など、販売商品の品ぞろえを急速に拡大し、まさに総合オンラインストアといえる業態に変化してきた。

 アマゾンは、顧客が求めるあらゆるものをオンラインで検索・発見できることを目ざしている。業界でも先端的なオンラインショッピングの技術をもち、クレジットカード決済、代金引換、おすすめ商品機能などの各種サービスを提供している。とくに、ワンクリックオーダー(1回のクリックで注文できるシステム)のシステムはアメリカでは特許となったことで有名であり、オンラインストアの原型をつくりだしたのはアマゾンであるといってもよいだろう。

 購入者が商品についての評価など(レビュー)を書く仕組みが用意されているのも特徴である。また、アソシエイト(アフィリエイトプログラムを実施している。これは、個人サイトなどにアマゾン掲出の商品ページへのリンクを張り、そのリンクをクリックして商品が購入された場合、個人サイトの開設者に成果報酬を支払うというシステムである。こうした仕組みによって、収入を得ている個人サイトオーナーも多く、アマゾンにとっても、顧客にとっても、商品を紹介するサイトオーナーにとっても魅力のあるサービスとなっている。2007年には電子書籍端末「キンドルKindle」を発売した。

 2016年の売上高は1359億8700万ドル、純利益は23億7100万ドルである。

 日本法人アマゾン・ジャパンは2000年(平成12)に設立され、日本語のオンラインストアを運営している。

[中島由弘 2017年9月19日]

『ロバート・スペクター著、長谷川真実訳『アマゾン・ドット・コム』(2000・日経BP社)』『ジョー・ジャッジ著、沢木昇訳『インターネット・コマースの最前線リポート』(2000・ネットイヤー・パブリッシング)』『レベッカ・ソーンダーズ著、信達郎監修、千葉元信他訳『アマゾン・コム ネット書店から発展を続ける』(2004・三修社)』『ジェームズ・マーカス著、星睦訳『amazonia アマゾン・ドット・コム成功の舞台裏――元トップエディターが語るアマゾンの軌跡』(2005・インプレスジャパン)』『脇英世著『アマゾン・コムの野望――ジェフ・ベゾスの経営哲学』(2011・東京電機大学出版局)』『リチャード・ブラント著、井口耕二訳『ワンクリック――ジェフ・ベゾス率いるAmazonの隆盛』(2012・日経BP社)』『ブラッド・ストーン著、井口耕二訳『ジェフ・ベゾス 果てなき野望――アマゾンを創った無敵の奇才経営者』(2014・日経BP社)』


アマゾン(ギリシア神話)
あまぞん
Amazōn

ギリシア神話の女戦士だけの民族。軍神アレスとニンフのハルモニアを祖先とする神話的民族で、カウカソスコーカサス)、スキティア(スキタイ)などの北方の地に居住した。アレスおよびアルテミスを信奉し、1人の女王によって治められた。彼女らは年に一度他国の男と交わって子を得たが、男子が生まれると容赦なく殺した。弓矢や半月形の盾で武装し、馬に乗り、つねに戦闘や略奪、狩猟に従事していた。右の乳房は弓矢の操作の妨げとなるので、切除する習わしだったという。

 多くの英雄が彼女らと戦いを交えた。ヘラクレスはエウリステウスの命令で、アマゾンの女王ヒッポリテの帯を奪うために差し向けられ、女王はヘラクレスの求めに応じた。しかしヘラのたくらみで、アマゾンたちに攻められたヘラクレスはしかたなく女王を殺害した。またテセウスがアマゾンの1人を奪ったとき、彼女らは仕返しにアッティカを襲撃したが、アテナイ人の激しい反撃にあって敗北した。トロヤ戦争にあっては、女王ペンテシレイアに率いられたアマゾンはトロヤ方を援助した。この戦いで女王はアキレウスに討たれたが、英雄は彼女の死に顔の美しさに魅せられて恋に落ちたと伝えられる。

 数多くの乳房をもつエフェソスのアルテミス崇拝は、彼女らアマゾンに起源すると伝えられる。

[小川正広]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

百科事典マイペディア 「アマゾン」の意味・わかりやすい解説

アマゾン[川]【アマゾン】

南米,アンデス山脈に源を発し,ブラジル北部赤道近くを東流して大西洋に注ぐ川。全長6516km,世界第2の大河。流域面積は705万km2で世界最大。ペルーのマラニョン川,ウカヤリ川の二大源流のほか,マデイラ川,ネグロ川,タパジョス川など200以上の支流を合わせ世界の全河川流量の15〜20%を占めると推定される。可航距離がきわめて長く,外洋船はマナウスまで,小船舶はペルーのイキトスまで航行する。1542年にはじめて河口まで達したフランシスコ・デ・オレリャーナが遭遇したインディオの女戦士(アマゾン)にちなんで川の名がつけられた。→アマゾニアアマゾン開発計画
→関連項目アマゾン水俣病シングー[川]セルバブラジルペルーボリビアマラジョ[島]南アメリカ

アマゾン

ギリシア伝説で,黒海沿岸あたりに住むとされた女戦士の種族(複数形アマゾネスAmazones)。外国の男と一定の時期に交わり子を産むが,男児は去勢するか殺害し,女児のみを育てる。弓を引きやすいように右乳房を切り落としたことからアマゾン(乳なし)と呼ばれるという。騎馬で弓,斧,槍や特製の楯を使い,イオニア各地に都市を建てた。トロイア戦争では女王ペンテシレイアが兵を率いてトロイア方に助勢したが,アキレウスに敗れた。
→関連項目テセウスヒッポリュトスマウソレウム

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

改訂新版 世界大百科事典 「アマゾン」の意味・わかりやすい解説

アマゾン
Amazōn

ギリシア伝説中の勇猛な女武者からなる民族。複数形でアマゾネスAmazonesともいう。軍神アレスとハルモニアの子孫。黒海沿岸地方からカフカス(コーカサス),スキュティアあたりに居住すると考えられた。狩猟の女神アルテミスを守護神としてあがめ,女王の指揮下にもっぱら戦争と狩猟に従事した彼女たちは,弓を引くときのじゃまにならぬよう右の乳房を取り除いていたところから,アマゾン(〈乳なし〉の意,a-否定辞+mazos乳)と呼ばれたという。武器には弓と槍のほか,三日月形の盾,斧も用い,騎馬に秀でていた。また種族保持のために,毎年,時を定めて他国の男と交わって子種を得たが,生まれた子どもは女児のみ育て,男児は殺すか不具にするか,あるいは父親のもとへやったと伝えられる。アマゾンの町としてもっとも名高いのはポントス(黒海南岸地方)のテミスキュラで,この地を英雄ヘラクレスが訪れ,女王ヒッポリュテHippolytēを殺害してその帯を奪った(十二功業の第9番目)。アテナイ王テセウスも(一説ではヘラクレスとともに)女人国に遠征し,ヒッポリュテの妹アンティオペAntiopēをさらってみずからの妻とした。このためアマゾンはアテナイにまで攻め寄せたが撃退された。トロイア戦争の末期には,女王ペンテシレイアPenthesileiaの率いる女軍がトロイアに来援して奮戦したが,女王はギリシア軍最大の英雄アキレウスに討ちとられた。このときアキレウスはペンテシレイアの死に顔の美しさにうたれ,その屍をきよめて敵方に引き渡し,ねんごろに葬らせたという。また東方遠征中のアレクサンドロス大王がヒュルカニア(カスピ海南岸地方)にあったとき,タレストリスなるアマゾンの女王が子種を得るべく大王を訪れ,枕を交わしたと大王の業績記録者たちが書き残しているが,《英雄伝》の作者プルタルコスはこの話を信じていない。なお,この種の〈アマゾン伝説〉は,インド,アラビア,イギリス,アイルランド,ブラジルなどにも残っている。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

山川 世界史小辞典 改訂新版 「アマゾン」の解説

アマゾン
Amazon

ギリシア神話の女だけの武人族(Amazones)で,常にギリシア人の敵として登場する。狩を生業とし,弓矢,槍,斧を持って戦う騎馬武者である。美しさと武勇は彫刻に表現された。

出典 山川出版社「山川 世界史小辞典 改訂新版」山川 世界史小辞典 改訂新版について 情報

とっさの日本語便利帳 「アマゾン」の解説

アマゾン

小アジアや黒海沿岸に住み、狩猟と戦争によって暮らした勇猛な女性戦士たちの民族。弓術と馬術に優れ、トロイ戦争では女王ペンテシレイアに率いられてトロイに味方した。

出典 (株)朝日新聞出版発行「とっさの日本語便利帳」とっさの日本語便利帳について 情報

世界大百科事典(旧版)内のアマゾンの言及

【乳房】より

…中世のヨーロッパでは副乳はまごうかたなき魔女の特徴とされた。つとにアイスキュロスの《縛られたプロメテウス》にも語られている勇猛なアマゾン族は,弓を引くのにじゃまな右の乳房を切り落としたという。聖女アガタはキリスト教徒迫害に耐えて,乳房を切除する拷問を受けたが,一夜にしてもとの胸にもどる奇跡を見せた。…

※「アマゾン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

仕事納

〘 名詞 〙 年の暮れに、その年の仕事を終えること。また、その日。《 季語・冬 》[初出の実例]「けふは大晦日(つごもり)一年中の仕事納(オサ)め」(出典:浄瑠璃・新版歌祭文(お染久松)(1780)油...

仕事納の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android