串田孫一(読み)クシダマゴイチ

デジタル大辞泉 「串田孫一」の意味・読み・例文・類語

くしだ‐まごいち【串田孫一】

[1915~2005]詩人・哲学者・随筆家。東京の生まれ。東京帝大を卒業後、パスカルの研究者として教鞭をとるかたわら、「歴程」などの詩誌で活躍。昭和33年(1958)には尾崎喜八らと山の文芸誌「アルプ」を創刊著作は多岐にわたり、詩集・山岳紀行・哲学書など400冊を越える。詩集「羊飼時計」、随想集「山のパンセ」など。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「串田孫一」の意味・わかりやすい解説

串田孫一
くしだまごいち
(1915―2005)

詩人、哲学者、随筆家。東京生まれ。1939年(昭和14)東京帝国大学哲学科卒業。翌1940年矢内原伊作(やないはらいさく)(1918―1989)、福永武彦(ふくながたけひこ)らと同人誌『冬夏(とうげ)』創刊、小説などを発表。第二次世界大戦後、パスカル研究者として東京外国語大学で教鞭(きょうべん)をとるかたわら、詩誌『歴程』『アルビレオ』に参加。詩集『羊飼の時計』(1953)、『旅人の悦(よろこ)び』(1955)に、温和で童話風の叙情を示す。一方、登山や植物などの自然の風物をめぐる詩的な随想も多く(『山のパンセ』ほか)、尾崎喜八らと山岳雑誌『アルプ』(1958創刊)を編集。また絵画にも筆をとり、独自な思索者として活躍した。

[山田俊治 2016年8月19日]

『『串田孫一著作集』全6巻(1967~1968・大和書房)』『『串田孫一随想集』全6巻(1981~1982・立風書房)』『『串田孫一哲学散歩』全4巻(1982~1983・筑摩書房)』『『串田孫一集』全8巻(1998・筑摩書房)』『『山のパンセ』(集英社文庫)』『『新選山のパンセ』(岩波文庫)』

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百科事典マイペディア 「串田孫一」の意味・わかりやすい解説

串田孫一【くしだまごいち】

哲学者,詩人,随筆家。東京生れ。初見靖一のペンネームも持つ。東大哲学科卒。上智大,東京外語大などで教壇に立ち,パスカルモンテーニュなどについての多くの著作がある。戦前福永武彦らと詩誌《冬夏(とうげ)》を出し,戦後《歴程》同人。他方,東京高校在学中から登山をはじめ,月刊誌《アルプ》の編集責任者もつとめる。温和な文体による,人生,自然,音楽などについてのエッセーは多くの読者を得ている。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「串田孫一」の意味・わかりやすい解説

串田孫一
くしだまごいち

[生]1915.11.12. 東京
[没]2005.7.8. 東京
哲学者,随筆家。東京高等学校を経て 1939年東京大学哲学科卒業。山岳部の活動から生まれた短編集『白椿』 (1938) が最初の著書。『冬夏 (とうげ) 』『歴程』などの同人に参加,東京外国語大学の教壇に立った (1950~56) 。ブレーズ・パスカルやミシェル・エイケム・ド・モンテーニュの紹介,人生の愛や幸福,自然の風物,登山などを語る滋味にあふれた評論,小品,随筆などを書き続ける。主著『永遠の沈黙 パスカル小論』 (1946) ,『串田孫一著作集』 (1967~68) ,画集『雲』 (1971) ,詩集『羊飼の時計』 (1953) など。

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「串田孫一」の解説

串田孫一 くしだ-まごいち

1915-2005 昭和-平成時代の哲学者,詩人,随筆家。
大正4年11月12日生まれ。演出家串田和美(かずよし),グラフィックデザイナー串田光弘の父。パスカルを研究し,昭和35年東京外大教授。「歴程」同人。昭和33年尾崎喜八らと山の芸術誌「アルプ」を創刊,編集責任者をつとめ,40年からはじめたラジオ番組「音楽の絵本」は1500回をかぞえた。山,自然,人生などをめぐる思索的な随想で知られる。平成17年7月8日死去。89歳。東京出身。東京帝大卒。筆名ははじめ初見靖一。詩集に「羊飼の時計」,随筆集に「山のパンセ」など。

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