井伊直政(読み)イイナオマサ

デジタル大辞泉 「井伊直政」の意味・読み・例文・類語

いい‐なおまさ〔ゐいなほまさ〕【井伊直政】

[1561~1602]安土桃山時代武将徳川家康に仕えた。長久手・小田原合戦に勇名をはせ、関ヶ原の戦いにも功を立てた。

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精選版 日本国語大辞典 「井伊直政」の意味・読み・例文・類語

いい‐なおまさ【井伊直政】

  1. 安土桃山時代の武将。はじめ今川氏、のち徳川家康に仕える。徳川四天王の一人。関ケ原戦いの功により近江佐和山一八万石を領した。永祿四~慶長七年(一五六一‐一六〇二

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朝日日本歴史人物事典 「井伊直政」の解説

井伊直政

没年:慶長7.2.1(1602.3.24)
生年永禄4.2.19(1561.3.4)
戦国・江戸前期の武将。戦国大名今川氏の重臣井伊直親の子として遠江井伊谷に生まれる。母は奥山親朝の娘。幼名万千代。永禄5(1562)年,父直親が讒言によって今川氏真に殺されたため各地を放浪し,天正3(1575)年,浜松城下で徳川家康に見いだされて仕えた。翌年早くも遠江の芝原における武田勝頼軍勢との戦いで初陣。以来,直政の姿が,本多忠勝,榊原康政といった家康の旗本先手役と並んで先鋒の中にみられるようになる。天正10年の武田氏滅亡,さらに本能寺の変後の家康による甲州経略の際,武田遺臣の招撫に功があり,家康は武田遺臣120名を直政につけ,山県昌景の「赤備え」を継承させた。そのため,このあとの戦いでは旗や具足などを赤一色で統一した「井伊の赤備え」がみられた。同12年直政24歳のとき,修理大夫に任ぜられ,次いで同18年家康の関東移封に際し,上野国箕輪で12万石を与えられたが,これはこの時点での徳川家臣団の石高で最高であった。慶長5(1600)年の関ケ原の戦では,家康の4男松平忠吉の後見役を務め,福島正則と先陣を争う形で戦いの口火を切ったことが知られている。敵中突破を試みた島津軍を追撃し島津豊久を討ち取るが,その最中に銃撃を受けた。戦後の論功行賞で近江佐和山18万石が与えられたが,このときの傷がもとで,2年後没した。

(小和田哲男)

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改訂新版 世界大百科事典 「井伊直政」の意味・わかりやすい解説

井伊直政 (いいなおまさ)
生没年:1561-1602(永禄4-慶長7)

徳川家康の重臣。幼名万千代。兵部少輔。遠江の名族井伊氏の嫡子として井伊谷(いいのや)に生まれる。父直親の不慮の死のあと流浪し,1575年(天正3)15歳のとき浜松城下で家康の目に留まり取り立てられた。82年弱冠22歳で旗本一手役(ひとてやく)の長となった。この部署には三河譜代の本多忠勝,榊原康政がおり,後世,直政を加えて三傑と称せられた。直政の軍団は浜松に常駐し,その構成は武田旧臣を中軸とし,隊長格に家康の直臣が配属され,軍団の兵器は赤色で統一される赤備(あかぞなえ)であった。この異色の軍団は小牧・長久手の戦などではつねに第一線で活躍した。直政は軍事面だけではなく,諸大名との折衝にも手腕を発揮し家康家臣団の第一人者となり,関東入部時,上野国箕輪城で最高の12万石を与えられた。関ヶ原の戦では本多忠勝とともに監軍で諸大名を指示した。戦後,近江佐和山城に転封,18万石を領した。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「井伊直政」の意味・わかりやすい解説

井伊直政
いいなおまさ
(1561―1602)

徳川氏の五か国領有期から江戸初期の家康の重臣。遠江(とおとうみ)国(静岡県)井伊谷(いいのや)に生まれ、幼名は万千代。井伊氏は代々西遠江の名族で、父直親(なおちか)は織田・徳川氏と通じているとの理由で、主君今川氏真(うじざね)によって謀殺された。わずか2歳であった直政は死を免れ、1575年(天正3)15歳のとき浜松で家康に対面し、小姓(こしょう)に取り立てられた。以後、若年で家康旗本軍の有力武将となり、また、政務にも重要な役割を果たし、家康側近勢力の第一人者となった。直政軍団の主力は武田氏旧臣で、兵具を赤色としたので井伊の「赤備(あかぞなえ)」で有名となり、直政は「赤鬼」の異称があった。関東入部後、上野(こうずけ)国(群馬県)箕輪(みのわ)城12万石を封与、関ヶ原の戦い後、近江(おうみ)国(滋賀県)佐和山(さわやま)城に転じ18万石を領した。

[煎本増夫]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「井伊直政」の意味・わかりやすい解説

井伊直政
いいなおまさ

[生]永禄4(1561).遠江,井伊谷
[没]慶長7(1602).2.1. 近江,佐和山
安土桃山時代の武将。直親の子。幼名は万千代,のち兵部少輔と称した。今川氏真に仕えていた父が謀反容疑で殺されると,逃れて親族に養われた。のち天正3 (1575) 年徳川家康に仕えて父祖の地井伊谷を領した。同 10年武田氏が滅んだのち,甲斐経営の功が認められ武田氏の遺領を与えられた。そののちその旗幟,器杖をみな赤色に統一したので,世人はこれを赤備 (あかぞなえ) と呼んで武名をたたえた。同 12年小牧・長久手の戦いに従軍。同 18年家康の関東入国の際,上野箕輪城 12万石を与えられ,さらに慶長5 (1600) 年の関ヶ原の戦いのとき,功により近江国佐和山 18万石を加封。翌年従四位下に叙任。

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「井伊直政」の解説

井伊直政 いい-なおまさ

1561-1602 織豊-江戸時代前期の武将,大名。
永禄(えいろく)4年2月19日生まれ。井伊直親(なおちか)の子。天正(てんしょう)3年徳川家康の小姓となり,今川氏真(うじざね)に殺された父の旧領遠江(とおとうみ)(静岡県)井伊谷(いいのや)をあたえられる。18年上野(こうずけ)(群馬県)箕輪(みのわ)城主。関ケ原の戦いの軍功により近江(おうみ)(滋賀県)佐和山城主となる。18万石。彦根藩主井伊家初代とされる。慶長7年2月1日死去。42歳。

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367日誕生日大事典 「井伊直政」の解説

井伊直政 (いいなおまさ)

生年月日:1561年2月19日
安土桃山時代の大名
1602年没

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世界大百科事典(旧版)内の井伊直政の言及

【井伊氏】より

…江戸時代の譜代大名の重鎮。浜名湖北辺井伊谷(いいのや)を出身とする遠江の名族である。井伊氏をはじめて名のったのは,系図上,共保(ともやす)のころ(寛弘~寛治。11世紀)といわれるが検討の要がある。おそらく鎌倉時代にいたって在地で武士団を形成し,南北朝内乱時では遠江の国人領主として注目される存在となっていた。井伊氏の活動が歴史上,具体的になるのは戦国争乱期である。家譜によれば,直宗,直盛は今川義元に仕え織田氏との合戦で戦死した。…

【上野国】より

…上野国は江戸城北辺の外郭に当たる防衛線であったから,とくに家康側近の重臣を配置した。まず徳川四天王の井伊直政を榛名山東南麓の箕輪城12万石に封じて信越両国に備え,榊原康政を館林城10万石に封じて常陸の佐竹氏や東北に備えたのをはじめ,平岩親吉を厩橋城3万3000石,奥平信昌を宮崎城(のち小幡)2万石など,万石以上11氏を戦国以来の要城に配備した。初期の諸侯はその後いくたびか改廃があり,中期以後は前橋,高崎,館林,沼田,安中(以上城持),小幡,伊勢崎,七日市,吉井(以上陣屋)の9藩が幕末までつづいた。…

【高崎[市]】より

…1590年(天正18)小田原落城とともに和田氏は滅亡し廃城。98年(慶長3)井伊直政が幕命によって城を榛名山麓の箕輪からこの地に移し,町割りと宿駅の整備にとりかかり,地名も高崎と改めた。1601年直政は城下町建設の半ばで近江国佐和山に転じ,次いで19年(元和5)に安藤重信が入封,以後3代77年間在城し,この時代に城下町はほぼ完成した。…

【高崎藩】より

…上野国(群馬県)高崎城に藩庁をおいた譜代中藩。1590年(天正18),同国箕輪城12万石に封ぜられた井伊直政が,幕命により98年(慶長3)中山道に沿う旧和田城に移城して立藩。このとき高崎と改めた。…

【彦根藩】より

…近江国(滋賀県)彦根に藩庁を置いた譜代大藩。1600年(慶長5)関ヶ原の戦で東軍の軍奉行(いくさぶぎよう)として戦功のあった徳川四天王の一人井伊直政は,翌01年石田三成にかわり佐和山城主に封じられ,近江国で15万石,上野国で3万石,計18万石の大名となった。02年直政は戦傷がもとで死去,嫡子直継は翌03年彦根山に築城工事を起こし,7ヵ国12大名の御手伝普請により22年(元和8)20年の歳月をかけ,彦根城の完成をみた。…

※「井伊直政」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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