強か(読み)シタタカ

デジタル大辞泉 「強か」の意味・読み・例文・類語

したた‐か【強か/健か】

[形動][文][ナリ]
粘り強くて、他からの圧力になかなか屈しないさま。しぶといさま。「世の中を―に生きる」「―な相手」
強く、しっかりしているさま。「―な後見役」「―な造りの家」
強く勇猛であるさま。
「力が強く勇気があって―な豪傑である」〈魯庵社会百面相
程度がはなはだしいさま。
「いと―なるみづからの祝言どもかな」〈初音
分量がたいへん多いさま。
「国の事など―に申し居たるさま見るに」〈夜の寝覚・一〉
[派生]したたかさ[名]
[副]
分量がたいへん多いさま。たくさん。「―食料を買い込む」
程度がはなはだしいさま。ひどく。「―腰を打つ」「―酔う」
[類語]忍耐強い我慢強い辛抱強い粘り強い押しが強い根強い執念深い気丈夫筋金入り手ごわい七転び八起き打たれ強いしぶとい粘り腰

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精選版 日本国語大辞典 「強か」の意味・読み・例文・類語

したた‐か【強か・健か】

  1. ( 「か」は接尾語。「したた」は「確か」の意の語構成要素と考えられる「した」を重ねたものの変化 )
  2. [ 1 ] 〘 形容動詞ナリ活用 〙
    1. しっかりしているさま。確かなさま。
      1. [初出の実例]「御佩刀(はかし)の緒、したたかに結び垂れ、御ぞのしり、走り引きて」(出典:宇津保物語(970‐999頃)祭の使)
      2. 「まいて君達の御為はかはかしく、したたかなる御後見は、何にかせさせ給はむ」(出典:源氏物語(1001‐14頃)帚木)
    2. 分量が多いさま。おびただしいさま。たくさん。
      1. [初出の実例]「国の事などしたたかに申居たるさま見るに」(出典:夜の寝覚(1045‐68頃)一)
      2. 「したたかに雲を出した」(出典:謡曲・舟弁慶(1516頃))
    3. 程度がはなはだしいさま。大層なさま。
      1. [初出の実例]「いとしたたかなる身づからの祝ひ事どもかな」(出典:源氏物語(1001‐14頃)初音)
      2. 「文覚がかたなもたるかいなをしたたかにうつ」(出典:平家物語(13C前)五)
    4. 非常に強いさま。勇猛であるさま。また、容易に他に屈しないさま。
      1. [初出の実例]「身もしたたかに、心も剛に、弓矢とってよきときけば」(出典:金刀比羅本保元(1220頃か)中)
    5. 見かけはそうは見えないが、相当の能力をもち、簡単にはこちらの思うようにならない人のさま。多くは悪い場合にいう。一筋なわではいかないさま。
      1. [初出の実例]「あの女が並の者なら、何も心配にも及びませんが、何分御存知の怜悧(シタタカ)ですから」(出典:内地雑居未来之夢(1886)〈坪内逍遙〉一一)
  3. [ 2 ] 〘 副詞 〙
    1. 分量の多いさま。たくさん。
      1. [初出の実例]「たった今跡の石場で、蕎麦をしたたかしてやったりや」(出典:浄瑠璃・平仮名盛衰記(1739)二)
    2. 程度がはなはだしいさま。ひどく。たいへん。はなはだしく。
      1. [初出の実例]「あをのいてしたたかあたまをやまして」(出典:玉塵抄(1563)二二)
      2. 「大かた其客の目前にてしたたかわるくいふに」(出典:随筆・独寝(1724頃)下)

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