中国、宋(そう)代の詩論書。一巻。厳羽(げんう)の作。1230年代に成立。1268年黄公紹(こうこうしょう)が序を書いてこれを伝えた。この書は、詩弁、詩体、詩法、詩評、考証の五部門からなり、宋代では唯一の体系だった詩話である。論の中心は、当時の散文化した詩風に反対して、情趣を中心とする唐詩に復帰すべしと説くことにある。とくに「詩に別材有り、書(学問)に関するにあらず、詩に別趣有り、理(道理)に関するにあらず」の論と禅的な「妙悟」論とは、後世に賛否両面からの大きな反響を巻き起こした。
[横山伊勢雄]
『荒井健訳『滄浪詩話』(『中国文明選13 文学論集』所収・1972・朝日新聞社)』▽『横山伊勢雄著『滄浪詩話 抒情の復権』(『中国の古典文学』所収・1981・東京大学出版会)』
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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