翻訳|dermatitis
皮膚の炎症で,俗に〈かぶれ〉ともいう。組織に赤,腫,熱,痛の4徴候の起こるとき,古くから炎症と称してきた。これはもちろん組織の損傷に対する身体の反応である。皮膚も炎症が起こると,やはり赤くなり(紅斑),はれ(浮腫),熱っぽくなるが,一般に化学物質で起こる皮膚炎は,化学熱傷を除けば,痛みよりもむしろかゆみのでる場合が多い。症状も小水疱,糜爛(びらん),落屑(らくせつ),皮膚肥厚,皹裂(きれつ),色素沈着,痒疹,大水疱,潰瘍などさまざまである。
皮膚炎は大きく分けて,毒性のある化学物質が皮膚に触れて起こる刺激性接触皮膚炎irritant contact dermatitis(ICD)と,接触した化学物質に対する拒絶反応がTリンパ球によってもたらされ,抗原の付着した表皮細胞がキラーT細胞によって殺され,液化されて小水疱を形成するアレルギー性接触皮膚炎allergic contact dermatitis(ACD)の2種類がある。後者の変形として,アレルゲンが真皮内に存在してツベルクリン反応型の腫張,発赤を生ずるdermal dermatitisや,表皮基底層がT細胞の攻撃目標となって液化し,その中に含まれていたメラニンタンパク質が真皮上層にまき散らされて,治りにくい色素沈着を生ずる扁平苔癬(たいせん)~苔癬型反応のような反応型式もある。
自覚症状としては,ICDはひりひりする痛みをよく伴い,ACDにはしばしば強いかゆみがある。しかし現実にはICDとACDが共存したり,最初ICDで始まり,次にACDが起こるなど,発疹型や自覚症状を参考にしても,両者をはっきりと識別しえない場合もある。物質に紫外線があたって化学変化が起こり,その生成物がICDやACDを起こすときは,臨床的には日光のあたった部位にのみ皮膚炎が起こる日光皮膚炎photodermatitisの形となる。
皮膚炎の治療には一般にステロイド外用剤がよく用いられ,有効なことが多いが,難治のときにはパッチテストや使用試験,除去試験で原因物質をみつけ,環境から除くことが必要である。
執筆者:中山 秀夫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
広義には皮膚におきた炎症をさすが、通常、皮膚炎の呼称は、アトピー性皮膚炎、一次性刺激性皮膚炎、接触皮膚炎、脂漏性皮膚炎というように湿疹(しっしん)性疾患に対して用いられる。すなわち、皮膚炎は湿疹と同義に用いられることが多い。とくに線状皮膚炎、毒蛾(どくが)皮膚炎というように原因が明らかな外因性の皮膚炎(接触皮膚炎) をさす場合が多い。
[伊崎正勝・伊崎誠一]
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