下腿(かたい)の軸となる2本の骨のうち、内側にある強大な長管状骨で、人体骨格のなかでは大腿骨に次いで長くて重い。脛骨の長さは30~33センチメートル(日本人)であるが、身長に比例する。下腿では脛骨が主幹となり、体重の大部分を支えている。下腿前面のいわゆる「向こうずね」といわれる部分は脛骨が主体である。細長い脛骨の上端は肥厚して左右に幅広くなり、中間部分の骨幹は脛骨体といい、三角柱状で下端はほぼ四角柱状となり、やや肥厚する。上端上面にはわずかに凹面をもつ2面の上関節面があり、大腿骨下端下面と接して膝関節(しつかんせつ)をつくる。三角柱状の脛骨体の前縁は鋭く突出していて、皮下組織の脂肪層や筋肉組織がなく、皮下に骨膜や骨皮質が直接接している。このため、この部分を打つととくに鋭い痛みが走るので、俗に「弁慶の泣き所」とよばれている。また、この部位に、傷害、皮膚病、あるいは潰瘍(かいよう)などが生じると、なかなか治癒しにくい。前縁上端には脛骨粗面とよぶ隆起部があり、ここに膝蓋腱靭帯(しつがいけんじんたい)が付着している。膝蓋腱反射の検査でたたくのがこの部位である。下端下面の凹(くぼ)みは下関節面で、足根骨(そっこんこつ)の距骨と関節を構成している。下端内側で下方に向かう隆起部は内果(ウチクルブシ)とよばれ、皮下に触れることができる。脛骨の外側には腓骨(ひこつ)が脛骨と平行に並び、腓骨の上・下端で脛骨と接している。
[嶋井和世]
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…体肢の骨格は,体肢がひれから脚に変わったのにつれて,高等脊椎動物のそれと同一の構成をとるにいたった。すなわち,自由部に上腕(大腿),前腕(下腿),手(足)の3部が区別され,前腕(下腿)には橈骨(とうこつ)(脛骨)と尺骨(腓骨)という2個の骨が並列している。ただしカエル類では,橈骨と尺骨が合体して橈尺骨となり,脛骨と腓骨が合体して脛腓骨となっている。…
※「脛骨」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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