船に乗ったときに起こる,めまい,吐き気などを伴う一過性の症候群。同じような症状は自動車や列車,遊園地の乗物など,動揺する乗物に乗ったときにも起こり,これらを含めて,乗物酔いkinetosisとして一括して扱われる。
乗物酔いは加速度病,動揺病ともいう。ふだん,身体のつりあいは,内耳にある前庭や三半規管で感受される平衡感覚,眼からの視覚,身体各所からの深部感覚などが,自律神経を介して小脳などに伝えられ,処理されたうえで,脊髄の運動神経に司令がだされて,保たれている。ところが,日ごろ経験しないような動揺が身体に加えられると,その加速度刺激が前庭や三半規管に作用し,自律神経系に異常な刺激が送られる。この結果,自律神経に失調をきたし,顔面蒼白,冷汗,めまい,嘔吐,生つば,呼吸切迫といった,乗物酔い特有の症状が出現することになる。症状は多くの場合,乗物から降りて安静にすれば治り,特段の治療を必要とすることは少ないが,重症の場合は,精神安定剤や強心薬の投与が必要になることもある。
乗物酔いの症状は,健康な人でも,動揺が激しければ,多かれ少なかれ出現するものであるが,〈動揺病素因〉をもつ人では,軽い揺れでも,しばしば酔ってしまう。動揺病素因をもつ人は,健康人の1~5%といわれ,一般に女性に多い。一方,内耳機能に著しい障害がある場合は酔いにくい。
乗物酔いは動揺刺激だけでなく,乗物のにおいや,〈揺れている〉という視覚刺激だけで起こることもあり,また不安などの心理的要因でも起こる。さらに,ふだん酔いにくい人でも,過労,自律神経失調症,胃腸障害などの身体的状況や,精神疲労などがあると,酔いやすくなる。予防としては,訓練による耐性の獲得,軽い食事や十分な睡眠,不安感の除去などの,乗る前の心身の調整がたいせつである。また,抗ヒスタミン剤や自律神経薬などが配合された〈酔止め〉の薬を飲んでおくのもよい。
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→加速度病
「動揺病」のページをご覧ください。
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
… 前庭系は自律神経系と密に連絡がとれており(前庭自律神経反射),前庭が日ごろ経験しないような刺激をうけると,自律神経系に異常な刺激が送られ,冷汗,蒼白(そうはく),吐き気,嘔吐,めまいなどを起こす。船酔いや乗物酔いはこのような機序で起こる。 宇宙船で飛行士が宇宙旅行を行うようになって宇宙酔い(宇宙不適応症候群ともいう)の問題もでてきた。…
※「船酔い」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
二十四節気の一つ。元来,太陰太陽暦の 12月中 (12月後半) のことで,太陽の黄経が 300°に達した日 (太陽暦の1月 20日か 21日) から立春 (2月4日か5日) の前日までの約 15日間で...
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