萩反射炉(読み)ハギハンシャロ

デジタル大辞泉 「萩反射炉」の意味・読み・例文・類語

はぎ‐はんしゃろ【萩反射炉】

山口県萩市にある反射炉跡。安政3年(1856)の一時期、試験的に操業が行われたとされる。大正13年(1924)国指定史跡。平成27年(2015)、「明治日本の産業革命遺産 製鉄製鋼造船石炭産業」の名で、韮山にらやま反射炉とともに世界遺産文化遺産)に登録された。

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日本歴史地名大系 「萩反射炉」の解説

萩反射炉
はぎはんしやろ

[現在地名]萩市大字椿東 前小畑

庄屋しようや川の北、うえはら丘陵上にある。国指定史跡。

萩藩大砲砲身が青銅で着弾距離が短く、実用に適しなかったため、海防の必要から安政五年(一八五八)当地に反射炉を設け、鋼鉄製の大砲を鋳造した。

一基の炉が現存し、中央から上部は二本に分れ、長方形の基底部から上に向かって九メートルまでは玄武岩赤土とを用いているが、その先端二・五メートルには大きな煉瓦を使用している。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

百科事典マイペディア 「萩反射炉」の意味・わかりやすい解説

萩反射炉【はぎはんしゃろ】

山口県萩市,萩漁港の東にある反射炉伊豆韮山反射炉とともに,日本に現存する2ヵ所の反射炉のうちの1つ。萩藩が海防のため,より頑丈な鋼鉄の大砲を製造することを目的として1858年に築造。高さ約11m,基部から高さ9mまでは玄武岩と赤土を積み上げて造られ,上部の煙突は2本となり,先端の2mほどは煉瓦積みとなっている。萩藩の記録で操業は確認できるが,実際に大砲を鋳造した記録はなく,試験炉と考えられている。2015年,〈明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼,造船,石炭産業〉の構成資産の1つとして世界文化遺産に登録。

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国指定史跡ガイド 「萩反射炉」の解説

はぎはんしゃろ【萩反射炉】


山口県萩市椿東(ちんとう)にある反射炉。萩三角州の北東部の丘陵上にある。反射炉は、1856年(安政3)に長州藩が艦船・大砲などを造るための金属熔解用に築き、試験を行ったと推測されている。高さは11.5mあり、頂上に向かって9mまでは玄武岩と赤土とを用いているが、先端の2.5mは大きな煉瓦を使用している。上部5mは2本の煙突に分かれている。丘陵の東側は2段に石垣を築き、全体が補強されている。近世の反射炉で現存しているものは、静岡県の韮山(にらやま)に築造されたものとここの2基だけである。わが国の産業史上、貴重な遺跡であり、長州藩の幕末における軍備充実の熱意がうかがえる。1924年(大正13)に国の史跡に指定された。JR山陰本線東萩駅からコミュニティバス「萩しーまーと」下車、徒歩約5分。

出典 講談社国指定史跡ガイドについて 情報

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