谷本富(読み)タニモト トメリ

20世紀日本人名事典 「谷本富」の解説

谷本 富
タニモト トメリ

明治〜昭和期の教育学者



生年
慶応2年10月17日(1866年)

没年
昭和21(1946)年2月1日

出生地
讃岐高松(香川県高松市)

学歴〔年〕
東京帝大文科大学哲学科〔明治22年〕卒

学位〔年〕
文学博士〔明治38年〕

経歴
明治23年山口高等中学校教諭を経て、27年東京高等師範学校教授となり、東京博物館主事、文部省視学官を兼任。32年欧州に留学し、帰国後の35年京都帝大理工科大学講師に就任。39年京都帝大文科大学教授となり、仏教大学(現・龍谷大学)講師を兼任。43年再度欧米に留学。大正2年沢柳事件で京大教授を辞任。その後、立命館大学などで教鞭をとり、晩年は宗教講演を行った。日本におけるヘルバルト及びヘルバルト学派の教育学研究者の第一人者。「実用的教育学及教授法」「将来の教育学」「新教育講義」などの著書がある。

出典 日外アソシエーツ「20世紀日本人名事典」(2004年刊)20世紀日本人名事典について 情報

百科事典マイペディア 「谷本富」の意味・わかりやすい解説

谷本富【たにもととめり】

ヘルバルト派教育学の紹介・普及に貢献した教育学者。高松生れ。1889年,東大卒。山口高等中学校,東京高等師範学校教授を経て,1899年英仏独へ留学,教育学関係で日本最初の文学博士となる。1906年,京大教育学講座の初代教授に就任。明治20年代は,ヘルバルト教育学に傾倒し,《実用教育学及教授法》で五段教授法強調。明治30年代後半は,《新教育学講義》等で,日本の資本主義発展の観点から,〈活人物〉育成を重視した新しい授業観を提唱した。
→関連項目新教育運動

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「谷本富」の意味・わかりやすい解説

谷本富
たにもととめり

[生]慶応2(1866).高松
[没]1946
教育学者。 1881年高松医学校卒業。東京大学で選科生として哲学,特約生として,ハウスクネヒトから教育学を学び,山口高等中学校,高等師範学校教授などを歴任。 1900年ヨーロッパに留学。帰国後 06年京都大学講師,のち教授。ヘルバルト教育学の紹介,その普及に大きく貢献した。「沢柳事件」で退任し,のち佛教大学教授などをつとめた。著書は多く,『実用教育学及教授法』 (1894) ,『将来の教育学』 (98) ,『新教育講義』 (1901) などがある。

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「谷本富」の解説

谷本富 たにもと-とめり

1867-1946 明治-昭和時代前期の教育学者。
慶応3年10月17日生まれ。明治39年京都帝大教授となるが,大正2年沢柳事件で辞任。ドイツのヘルバルト学説の紹介から出発し,国家主義的教育,さらに個人本位の新教育を主張した。昭和21年2月1日死去。80歳。讃岐(さぬき)(香川県)出身。帝国大学卒。著作に「実用教育学及教授法」など。

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367日誕生日大事典 「谷本富」の解説

谷本 富 (たにもと とめり)

生年月日:1867年10月17日
明治時代-昭和時代の教育学者。京都帝国大学教授
1946年没

出典 日外アソシエーツ「367日誕生日大事典」367日誕生日大事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の谷本富の言及

【新教育】より

…1921年には国際的な新教育運動のための組織として国際新教育連盟Ligue Internationale pour l’Éducation nouvelle(International New Education Fellowship)も結成されるにいたった。 日本では日露戦争直後に京都帝国大学教授の谷本富(たにもととめり)(1867‐1946)がヨーロッパ,アメリカにおける新教育に学んで日本にも新教育運動が必要とされることを説いて,教育界に波紋をひきおこした。彼の主張は,今後の日本の帝国主義的発展を支える人間は,それまで明治政府がすすめてきた画一的形式主義的教育からは育たないとして,カリキュラムの近代化と教育方法における子どもの興味や自発性の尊重を説いた。…

※「谷本富」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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