初代には元徳三年(一三三一)に善通寺
六代宥は慶長一八年に入山。金光院や町方で重立となり、門前町の有力者となる菅納家・木村家・荒川家・小国家などの人々を招いた。初めての山下家出身の金光院別当。正保二年(一六四五)没。七代宥典は正保二年に入山。慶安元年(一六四八)三月、将軍徳川家光から社領三三〇石の朱印状を受ける。高松藩主松平頼重の寄進によって、境内の諸堂の建築と修復が行われた。山麓からの参詣道もほぼ現状に近い状態にまで整備されたという。寛文六年(一六六六)没。八代宥栄は寛文六年に入山。宥の実弟山下盛包の子。
出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報
香川県仲多度郡琴平町に鎮座。大物主神に,崇徳天皇を合祀する。創建年は不詳であるが,象頭山金毘羅(ぞうずさんこんぴら)大権現と呼ばれた本社は1001年(長保3)勅命による社殿修築があり,保元の乱で讃岐国へ移された崇徳上皇が参籠したこともあり,古来海上守護,祈雨の神として広い崇敬をあつめ,中世以降全国に勧請された。1868年(明治1)仏教色を一掃して金刀比羅宮と改称。旧国幣中社。例祭10月10日,その10日夜12時より壮麗な渡御があり,前後3日のあいだに金比羅舞などがある。ほかに桜花祭(4月10日),田植祭(4月15日)などの特殊神事,蹴鞠(けまり)が伝承され,伏見天皇御歌集などの宝物,江戸初期の書院など,典型的な門前町とともに,多くの文化財が残されている。
→琴平[町] →金毘羅信仰
執筆者:鎌田 純一
多くの建築があるが,このうち,表書院,四脚門,奥書院,旭社の4棟が重要文化財に指定されている。現在の表書院は客殿と称され,1654年(承応3)の建立になる入母屋造,檜皮葺き(ひわだぶき),正面に軒唐破風(のきからはふ)を付けた建物で,各室には円山応挙作の障壁画が多数ある。《瀑布及山水図》は1794年(寛政6),《竹林七賢図》《遊虎図》《遊鶴図》は1787年(天明7)の作である。奥書院は単に書院と称され,内向きの館で,1658-61年(万治年間)の建立,1717年(享保2)に大改造を受けている。伊藤若冲,岸岱(がんたい)作の障壁画がある。旭社はもと金毘羅大権現の金堂で,明治時代の神仏分離によって改名した。江戸時代末期の大型の二重仏殿で,初重方五間,上層方三間,後方に祭壇を設けた入母屋造,銅板葺きの建物である。旧金毘羅大芝居(金丸座)は,1835年(天保6)に柿落し(こけらおとし)を行った芝居小屋で,門前の金山寺町にあったが,1975年に街はずれに移築され,現在は琴平町の所有である。この芝居小屋の客席は,1階平場に枡席,両側に桟敷,2階の両側と向いにも桟敷を設ける。舞台はせり付きの回り舞台で,奈落下で人力で回す。江戸末期を代表する現存最古の歌舞伎劇場である。
執筆者:宮沢 智士
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
香川県仲多度(なかたど)郡琴平(ことひら)町に鎮座。一般に「讃岐(さぬき)の金毘羅(こんぴら)さん」とよばれる。大物主(おおものぬし)大神を主神とし、崇徳(すとく)天皇を合祀(ごうし)する。創建年代不詳。1001年(長保3)一条(いちじょう)天皇は藤原実秋(さねあき)に勅し、社殿を修造したが、古くより神仏習合して象頭山(ぞうずさん)金毘羅大権現(だいごんげん)と称した。金毘羅とはサンスクリット語のクンピーラKumbhiraの漢訳語で、インドのガンジス川にすむ鰐(わに)を神格化した水神を意味し、これを本社の神と結び付け信仰したのである。崇徳天皇は保元(ほうげん)の乱(1156)ののち当国に配流(はいる)されたとき、当社に参籠(さんろう)して祈願したこともあり、崩御後1165年(永万1)に合祀された。1243年(寛元1)後嵯峨(ごさが)天皇が勅命をもって祭儀を修して以後、朝野の厚い崇敬を受けた。江戸時代には全国的な航路の発展とともに、航海者の信仰を集めて、全国に勧請(かんじょう)され、また金毘羅講が各地におこった。江戸幕府は朱印領330石を寄せ、代々の高松藩主もよく保護した。中世以来、別当職として金光(こんこう)院があたっていたが、1670年(寛文10)以降神職は山内より除き、僧侶(そうりょ)のみで支配した。明治維新後、神仏分離して国幣中社。例祭10月9~11日の金刀比羅祭は「お頭人(とうにん)様」とよばれる大祭。1月、5月、9月の5~7日の本宮にての参籠大神事、4月10日の桜花祭など特殊神事が多い。琴平山(象頭山)一帯にわたる社殿は壮麗。円山応挙(まるやまおうきょ)筆『遊虎(ゆうこ)図』など多くの国の重要文化財がある。1952年(昭和27)宝物館、学芸参考館は博物館に指定された。蹴鞠(けまり)は県無形民俗文化財。
[鎌田純一]
『『金毘羅庶民信仰資料集』全3巻(1982・金刀比羅宮社務所)』
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琴平社・金毘羅(こんぴら)大権現とも。香川県琴平町に鎮座。旧国幣中社。祭神は大物主(おおものぬし)神。創建は不詳だが,金毘羅は鰐魚の神格化で海神信仰に起源をもつと考えられる。平安後期に社殿修造や祭儀が行われたと伝えるが,元亀4年(1573)の棟札が確実な初見史料。近世になっておおいに信仰を集め,全国の参詣者が集まる四国最大の行楽地となって「こんぴら道」が成立した。1966年(昭和41)金刀比羅本教をおこす。例祭は10月9~11日。特殊神事に潮川神事がある。表書院・奥書院の建造物のほか,「なよ竹物語絵巻」など多くの重文を所蔵。
出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報
出典 旺文社日本史事典 三訂版旺文社日本史事典 三訂版について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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